旧拍手御礼文「その後の話」

旧拍手御礼文。殺人鬼くんと不死身くんのその後のお話。不謹慎な会話とグロ注意です。



























「ねぇショウ、こんな話聞いたことある?」
ふじは再生しきらない手足を眺めながらそう切り出した。
爪が剥がれてしまった手が痛々しい。
そんなボロボロの手で変な方向に捻れた足を無理やり正しい位置に戻し、それを押さえつけている姿は何故だか少し滑稽だった。


「俺達はさ、他人に合わせて主義主張を曲げる事がある。それを自分を殺すって言ったりするじゃない。じゃあ俺達はここにくるまで何度、"自分を殺した"んだろうね。」

そう言ったふじの爪はもう再生していた。
足はまだのようだ。


「そんなくだらねぇこと、よく話す気になったな。」

わけのわからない話を始めたふじに対して悪態をつく。
精一杯の抵抗だ。


「でもさぁ、俺、見ててわかると思うけど自分の欲望には忠実なの。こんな体だし、死んでも生き返るから安心して無茶できる。俺は、"自分を殺したことがないに等しい"んだよね。まぁ、あるって言ったらあるけど、みたいな感じ。」

そしてなにか言いたげな瞳で俺のことを見た。
なんだよ、と返すとふじはいひひ、と奇妙な笑い声をもらした。



「ショウは俺のこと、何回殺したぁ?」


……あぁ、なるほど。
それが言いたかったわけか。
妙に嫌味ったらしい口調と声音、表情。

「ショウは俺のこと、俺が"自分を殺した"よりもずっといっぱい殺してるよね。」

煽るように言うふじ。
腹が立つ。
今すぐにでもバラしてやろうか、と思ったけどそれはふじが許さないだろう。



「ショウったら、俺のことだけ殺すようになってからつまんなくなったね。」
「……そりゃあ悪かったな。」

ふじは再生しきった手足を俺に絡ませ、にっこりと笑った。


「どうせならもっと狂えばよかったのに。」





<終>

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