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なにすんだ、という俺の講義の声は宗太の手にふさがれた。
そのまま、教卓の下に押し込まれる。
「しーっ」
いたずらっ子のような笑みを浮かべ、宗太はそこで待ってて、とだけ言葉を残して教室を出ていった。



あー…なんだ?
俺に都合よく推測するに、宗太が追っ払ってくれるってことか?その間、俺はここに隠れてろ…ってこと?
また逃げるには、もう親衛隊がここへ近づいているかもしれないというリスクが伴う。
…とりあえずは大人しくしとこう。
あいつの世話になるのも、あいつを信じる形になるのも癪だけど。





少し経つと、外から甲高い声が聞こえた。
「宗太様…!」
宗太の名を呼び、そして何かを声高に主張している。
見つからないように、と体育座りをしていた足を引き寄せる。
それからすぐに、教室のドアは開いた。
少し身構えて、入ってきたやつを確認すると、宗太だった。
どうやら本当に追い払ってくれたらしい。


「雅クン、もう大丈夫だよ。」
にっこりと笑う宗太。
くっそ、こいつに借りがひとつできてしまった。
「…ありがとよ。」
不本意ながら礼を口にすると、宗太はにっこりというよりもにへら、とその顔を崩して、「雅クンはかわいいなぁ。」と言った。
誰が可愛いだ。俺は平凡は平凡でもちゃんと男らしいからな!!?身長だってちゃんと170cmあるんだぞ!!!?
…宗太には負けてるけど。
無意識に睨みつけていたのか、宗太は「やだなぁ雅クン、睨まないでよぉ。」と茶化した。
ムカついた。


「…じゃ、俺は行くから。じゃーな。もう来んなよ。」
拒絶の言葉を口にして、その場を去ろうとする。
会ったら殴る、って決めていたが、今回はこの借りとで相殺だ。殴らないでおいてやる。

宗太に背を向けると、この教室に押し込まれた時と同じように、腕を掴まれた。
そのままぐい、と引っ張られて宗太の胸の中へ。
講義の言葉を放とうとしていた口は、宗太からの口付けで閉ざされた。
抵抗する間もなく、口内へと侵入してくる生暖かいもの。
それが宗太の舌だと悟った時には、その舌をかんでいた。

「なにしゅんの!いひゃい!」
口を抑えてぷりぷりと怒る宗太だが、怒りたいのはこっちだ。
俺のファーストキス奪いやがって。初めて付き合った彼女としたい、って大事にとっておいたんだぞ!!?
前言撤回。やっぱりこいつは殴る。
その頬に思いっきり拳をおみまいしてやった。
容赦なんてしてやんねぇ。俺のファーストキス奪った上に舌まで入れてきたこいつが悪い。




やっぱりさ、俺。
実家へ帰らせて頂きます!








(終)

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