実家へ帰らせて頂きます!

いや、まさかさ。
俺が親衛隊の制裁の対象になるだなんて夢にも思ってなかったよ。
それもこれも全部、あいつのせいだ。
今度会ったら1回ぶん殴ってやる。




実家へ帰らせて頂きます!





そもそも俺は、全寮制の男子高校に通う平凡な男子高校生だったはずだ。
学園自体が平凡とはいえないし、俺の家自体も平凡とはいえないのだけれど。俺自体は平凡。
そうだったはずなのだが。



「逃げるんじゃないよ平凡!!」

なんで俺、親衛隊の子に追いかけられてるの?
これが可愛い女の子だったら嬉しいかもしれないが、相手はいくら可愛い顔をしていても男。
全然嬉しくねぇ!
それに、俺の名前は平凡じゃねぇ!雅だ!
全速力で廊下を走る俺とそれを必死に追いかける女顔の少年。
シュールにもほどがあるだろ。


事の始まりは俺がイケメンに好かれたことだった。
絡んできたチャラ男が手を出してこようとしたから、殴って逃げたら追いかけられるハメになった。
短気な俺が悪いし自業自得なのだが、問題は相手が復讐のために追いかけてきているのではなく、俺に惚れたとかいう理由で俺を追いかけ回しているのだ。
男のケツ追いかけまわして何が楽しいんだよ。くそが。
おまけにそのチャラ男は生徒会会計だった。最悪だ。

おかげで親衛隊員にも追われている。
俺の平和な学園生活を返してくれ。
それに俺は、生徒会の中では双子庶務派なんだよ!畜生!


そういえば、前にやった携帯ゲームで全寮制の学園モノあったなぁ…。
可愛子ちゃんに囲まれてウハウハするハーレムもの。確かあれ、ギャル風の見た目で遊んでいるように見えて純情な美紀ちゃんが好きだったなぁ…あの子は生徒会会計だったっけ…もうあのゲームやれねぇよ…あいつのせいだ。


曲がり角を全力ダッシュで曲がる。
すると目の前には人が。やべぇ!
しかしすぐ止まれるはずもなく、その相手にぶつかってしまう。
しかし、俺の体はふわりと抱き止められた。
「どうしたの、雅クン。そんなに急いでさ。」
独特の口調。
今一番会いたくなかった相手。
「うわっ宗太!!!」

そう、我らがチャラ男会計、宗太だ。
畜生、今度会ったら殴ろうと心に決めてたのに。そんなことしてたら追いつかれる。
「今は後だ後!お前の親衛隊に追われてんだよ!!」
ぐい、と体を引きはがし、体勢を立て直す。
「ぶつかって悪かったな、じゃあ俺はこれで!」
そう言ってまた走り出そうとした時。
腕を掴まれた。
「匿ってあげる。」
そのまま俺は、教室の中へ引きずり込まれた。


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