ぼくとそら 1

「んっ」


気持ちいいことは好き。
何も考えなくて済むから。



「ひぃちゃん、気持ちいい?」

甘ったるい自分の声も、男の声も、耳に残る不快なものでしかない。

だけど、一時の快楽はその不快感を差し引いてもぼくの頭の中を、綺麗にしてくれる。



こくこくと頷くと、男の動きはさらに早くなった。
頭の中が真っ白に、なる。



「ん〜っ!」
イった時のあのすべての思考が吹き飛ぶ瞬間が好きで。
気持ちよくて。


自傷行為なんかよりももっと、生きてるぞーって感じがする。










ぼくがイくと、男はぼくの中に出すだけ出して、ホテル代とお代を置いて帰っていった。


息を整え、シャワーを浴びるために立ち上がると内腿に男の出したものが伝った。

「出していいって言ったけど、後処理までぼく任せかよ…」

ずるすると、惰性でバスルームに向かう。
体のあちこちがベタついて、気持ち悪い。



気持ちの良かったあの一瞬は、もう過ぎ去ってしまった。
あるのは倦怠感と、いつものもやもや。



シャワーを思いっきり頭から浴びる。
冷たい、水。

「あーーー…」


だらだらと流されていく、ぼくのだかあいつのだか分からない体液。

寒くなってきた頃にシャワーを止めて、湯船に入った。



いろいろ考えて、それで、気分が悪くなった。
しょうがないからさっきのえっちのことを考えた。

あんまり気分はよくならなかった。






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