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▼ ちいさなせかいのちいさなゆめ

 あなたと出会ってから、もう三年になったでしょうか。そしてわたしは、もう一年も、この窓辺に寝そべっているのです。帰ってこないあなたを待って。
 今日も綿毛が飛んでいます。種を運び、大地に根をおろして、開花の一瞬を迎えるために、風に乗って飛んでゆきます。
 あなたは思いを留めないけれど、まるであなたを見ているようで。わたしは目じりが和らぐような、顔をくしゃくしゃにしたくなるような、ゆらゆらとした気持ちでいっぱいになるのです。

 あなたがきれいだと言ったから、わたしはこの体を憎みません。あなたがいる世界だから、わたしは生きていたいと思います。
 けれど、この小さくて頼りない獣の体では。きっとあなたとは釣り合わない。せめて、せめて強くなれたなら、きっとあなたの隣にいれたのに。

「母さんを、頼んだよ」

 耳を澄ませば、風の歌が聞こえます。風と一緒に旅立った、あなたのような澄んだ音が。





'100520

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