幕は閉じ、舞台にからは役者たちが去っていく。
たたった一人の観客である少女は「とても、幸せな時間だった。」と呟いて、席から立ち上がった。
そしてその手に抱いていた小さな花束を舞台に向かって放った。
舞台に一人残っていたある役者が、その花束を掴み得た。
「ありがとう、本当に。」
花束を掴んだ役者に向かって少女は賞賛の言葉と、微笑を投げかける。
役者は一礼すると、今度こそ舞台から立ち去った。
それを見た少女もまた、観客席から立ち去ろうと舞台に背を向ける。
ふと、少女は出口へと向けていたその足の歩みを止める。
そして「彼らは星を見てくれるはずよ。」と呟いた。
同時に振り向いて、閉じた幕の向こう側の景色を目に焼き付けるかのようにじっと見つめた。
それを終えると、彼女は今度こそ出口へと向かっていく。
光が差す出口へと、一歩ずつ、確実に、進んでいく。
――そして、観客席には誰も居なくなった。
……END?
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