WENT DOWN UNDER COVER 3






: WENT DOWN UNDER COVER 3


あらかた自分の仕事が終わったらしい清羅がPCに向かっていた須郷の部屋にやってきたのは、夕方のことだった。学園の時のような下ろしただけの無造作な髪型でなく、仕事用にとオールバックにしていた髪はそのままに、制服ではなく着流しを身に着けている。随分と最近他界したばかりの親に倣った、家の中でのラフ着なのだという。

「少しは慣れたか?」

口角を少しばかり上げて、目尻は優しく垂れ下がっている。

「ああ、おかげさまで」

須郷は仕事をしていた手を止め清羅に語りかける。

「何か飲み物を頂いて来・・・・」

せっかくなのだから、いつもの様に話でもするかと持ちかけようとした所を清羅が静かに、と人差し指のポーズを取った。

『ほかのやつが、きいてる』

清羅は口パクだが須郷に伝わるように、ゆっくりと口を開閉する。他の奴が聞いている。とはつまり、今は学園に居た頃のような話し方はしてはいけないということだ。少し困った顔を浮かべたあとに、清羅は両手を合わせてきた。
なんだなんだと須郷が呆けていると、清羅が立ち上がったばかりの須郷を抱き寄せ、呆けた唇に口付けてきた。

「な、んッ―――――!、ん、・・・・、」

驚きの感情で声が漏れ出て、その隙間から清羅の舌が挿し込まれる。
思っていたよりずっと熱っぽく、ねっとりとした清羅の舌に、須郷の舌が絡め取られる。以前より、少しだけ、対応は甘い。唾液を流しこむように何度か舌で舌をくすぐった後、ちゅうと舌を唇で吸われて、今度はたまらず、羞恥の声が漏れ出てしまう。

「・・っん、は、・・・・・ぁ、・・・ッ!」

絡まるほどに熱が上がる。
上顎を舌先で擽られると、むず痒さにピクリと弱々しいながらも身体が反応してしまい、思わず舌を引っ込めてしまうのだけれど、清羅は逃がしてくれない。
そういえば、自分がこんなに蹂躙される側なのは初めてではないだろうか。
今までそれなりに学園で男との経験は積んできたが、いつも主導権は自分にあったし、何より、キスで感じてしまうのも、初めてのことだ。

「、き、・・・・っ」

きよら、と恥ずかしさのあまり名前を呼びかけて、須郷はまた離れそうになっていたのに、口を塞がれた。

イロである、この行為に羞恥が無くなる事は無いだろう。
しかし、心地よく過ごせているのも清羅のおかげに他ならないし、きちんと手を合わせて謝罪のポーズを取ってきた辺りも、須郷の知らなかった清羅の優しい一面だ。

「・・ん、・・・なんだ、腰抜けちまったのか?」

やっとの思いで開放された後に、は?と素で声が飛び出しそうになった。
須郷の腰には清羅の腕ががっしりと回されており、間近で攻める男の演技をする清羅の表情は、本当に情欲を隠すことができず、思わず噛み付いたのだと言わんばかりのもので、須郷は下唇を噛みながらじっと清羅を睨みつける。

「っはぁ・・・そんなわけ、ねえ、だろうが・・」
「ああ、相変わらず、生意気だなァお前は、」

生意気が好きだとか、腰が抜けちまっただとか。そんなこと、友人とキスをしているだけの男にある筈がないのに、清羅は獲物を捉える鷹の様な瞳で須郷を見つめたまま、尻に手を這わせてきた。

「ど、こ触っ・・・、て、」
「・・・そうだな」

厭らしく数回尻を撫でた手のひらは、段々と指先だけになり、黒のスキニーにワイシャツという清羅に貸してもらった単調な服の上から、尻の割れ目を往復してから、窄まりを押し上げてきた。触られたことがなく、「ンッ、」と、つい声がでてしまったのが恥ずかしくて、須郷はぎゅうと清羅の着物を握る。
清羅はそんな須郷の反応にハッと、楽しげな笑いを一つこぼしてから、須郷の耳元に唇を寄せて低く、人を誘う艶やかな声で囁いた。

「俺のモンを、はしたなく咥えちまうところ、だ」

台詞終わりにべろりと耳を舐められ、須郷は目を見開く。
友人なのに?お前、ほんとうに、・・?

「・・・・っ、す、・・・るのか、?」
「ああ・・・此処に突っ込んで、はしたなく喘がしてやろうと思ってる」
「・・やめ、ろ、他のことなら、・・なんでも、する」

縋るように着流しをぐいと引っ張って、視線で清羅に助けを求めてみるも、清羅は依然と態度を変えることなく、須郷に足払いをかけて畳に転がせた。

「なんでも、つったなぁ」

後手をついて、顔を上げようとした時にすぐに清羅も屈んで、顎を鷲掴みにされる。動揺で瞳が揺れているからか、まるで知らない男かのように思えてしまう。

「じゃあ、オナニーしろよ」

「・・ンなもん見て、何が楽しいんだ」
「俺はお前の声も容姿も、そのクソ生意気な態度も全部気にいっちまってんだ・・・ほら、やんのか、やらねえのか?頭良いお前なら、どうすんだ?」

須郷を追い込む為に並ぶ清羅の言葉に眉を顰めて、・・・・・下唇を噛んで、これも仕方がないと、カチャカチャと己のベルトを外し始める。人に、見られている自覚が無いからか。恐怖を経験した後だからか、いやな汗が吹き出すこともなく、外すことができた。

「しっかり足開け、・・・・正宗、見ててやるからよ」

上がった清羅の口角に、思わず、殴りつけてやりたくなる。
スキニーの前を寛げて、何も反応していない自身を取り出しやんわりと触れていく。も、気持ちが萎えいでいるからか、いっこうに勃つ気配は無かった。

「手伝ってやろうか?」
「・・いらねえよ」

少し不機嫌気味になった声に、情けなさを感じてしまう。きっと清羅も不本意なのに、俺のせいでこんなことをさせてしまっているのにと、頭ではわかっているのに、セクハラを強いられるのが屈辱的であることには、あの時より変わりはなかった。須郷自身、もともとプライドが高いというところも勿論ある。

「ククッ、つれねえなあ」

笑いつつも、須郷の顎を掴んでいた手を外して、そっとワイシャツのボタンを外していく。清羅の意図が読めずに、ただそれをじっと見ていると、清羅の唇が首筋に寄せられる。耳を舐めたように、しっとりと肌を濡らすだけの唾液を含ませて、一度舐めあげてからちゅうと首筋を吸われる。甘いその擽ったさに眉を顰めた須郷は、清羅の頭を退けようと手を伸ばした。

「・・・お前がするのは、こっちだろ?」

抵抗する腕はすぐに捕まえられて、ニヒルに笑った清羅から須郷への愛撫が始まった。処女に触れるように、己が触る部分は、陰部とは遠い場所から、順に下がっていく。時折首筋に華を咲かせたかと思えば鎖骨を噛まれ、早急でない刺激に、気持ちが落ち着いていく。それに比例して、身体が熱く火照っていくのがわかる。

「あァ、やっと反応してきたな」

からかう言葉に、須郷は内心で舌打ちをする。
何故だか、清羅に優しく愛撫されると・・・ジワジワと快楽の華が広がってしまう。

「うるせえよ・・・、触れば勃つ」
「じゃあその調子でイクとこまできっちり見せろ」

言い返したい言葉を飲み込んで、須郷は緩く勃ち上がってきた自身の先端から、薄っすらと姿を現した露を自身にまた塗りつけては、息を吐く。間近で清羅に見られている。片や組のボスとして、須郷をイロと扱い、楽しむ男。片や、親に逃げられヤクザ売られた不憫な男。その実は、ただの仲良くなってきたばかりの、・・・友人だ。

複雑な感情が無いと言えば嘘になる。
ただ言うことを聞けばいいだけができない自分が、情けなくもある。

「(きよら、)」

生理的に浮かんだ涙越しに視線を合わせると、清羅は困ったように笑った。

手の動き早めて須郷が達すると、そのイク表情まで清羅はきっちりと見届けて、「よくできたじゃねえか」と、高圧的な台詞で須郷を褒め称え頭を撫でた。

じわりと、滲む、索漠とした感情。

これは一体何なのだろう。




清羅と須郷の密会は、所変わって、今は風呂場で行われている。自然な流れで、誰にも、聞かれることのない、ふたりきりの開放的な空間・・・温室に等しく、ぼうっと寛ぐことができるものの、あの陽だまりの揺らぎが水面に変わり、自然の風がすこしばかり欲しくなる。そういえば、廊下で風を掠めるぐらいしか、外には出ていなかった。

「・・・なあ」

「・・・・ん?」

眠いのか、もったりとした声がシンと耳に響いてくる。隣同士、壁の檜に背を預けながら、ぼうっと水面を見つめる須郷と、うたた寝をしていたらしい清羅は、ぱちりと瞬きをして須郷の方に顔を向けた。なんという美貌だと、驚いたのはそう遠い日ではない。そんな男が自分の膝の上で寝るようになり、愛おしさを感じたことも、そんなに、最近の話ではない。

「お前の、趣味ってなんだ」
「っぷ、は、はは、・・・今更何を聞いてんだァ、お前はよ」

しょうがねえやつ、と清羅は内心で呟いて、緩ませた目元で須郷を見つめなおす。

「特にねえけど、言うなら昼寝だ」
「そりゃ俺の台詞だろ清羅。奪うなよ」
「んー・・じゃあ、お前の膝枕係か?」

笑いながら言えば、趣味なのかよそれ、と同じような笑い方をされる。
自分と同じ顔の緩み方なのに、須郷が微笑めば、心が安らぐ自分が居る。

「・・まあでも、悪くねえな」

呟く須郷の、後頭部にするりと手を回し引き寄せる。

「・・キスしても、いいか?」

驚いたように笑って、須郷はもうしただろ、と茶化してきた。
それが何だか喉に詰まって、苦しくて、こつんと須郷の首元に額を寄せて凭れ掛かる。これなら顔も、見ることはできない。

「あんなの・・・キスじゃ、ねえだろ」
「・・・清羅?」
「お前を酷くしちまうぐらいなら、先に優しく・・抱きてえ」

湯気と共にゆったりと舞い上がる清羅の言葉の一音一音を、須郷は理解した。
ほんとうに、見た目とは裏腹に、優しい男だ。これでは、清羅が友人以上の感情を須郷に抱いているのだと、須郷が勘違いしても可笑しくない。
ただきっとこれは友愛なのだ。
何処までも、面倒見の良い、若頭の頭をくしゃくしゃと掻き回してやる。

「・・恥ずかしいことさせんなよ」
「なんだ、そういうプレイが好きだったのか」
「バァカ、ちげえよ」

須郷はまた一つ笑って、鳶色の髪が少し掛かる耳を食んで、舌で舐め上げる。
自分は何をしているのだろうか、と、疑問が浮かぶより先に、清羅が・・・いいか?と須郷に尋ねて来た。

「優しくして、くれるんだろう?」

清羅には、申し訳ないと、思っている。
ただ飴と鞭のように、優しさを目一杯に、与えられると、
須郷の心がなびいてしまうのは、・・・仕方の、無いことだったのだ。

「・・・勿論、とびきり甘く、抱いてやるよ、マサ」

(どうしてお前だったのだ、と疑問を投げかけたが、今この瞬間は、)
(俺を追い掛けるのがお前で良かったと、思ってる)






共同生活が行われている部屋といっても、清羅の部屋は全くの別だった。そういえば、須郷が清羅の部屋に足を踏み込んだのは、初めてのような気がする。情事もどきがあったのも、須郷にあてがわれた部屋であるし、そもそも、この離れの存在を余り知らなかった。
須郷の、今はもう見ることは出来ない実家の部屋ほど広く、その割には物の少ない空間。
存在感を示していたのは、衣服を仕舞うクローゼットぐらいのものだ。

「・・・あんまり、見るな」

オレンジ色の間接照明が厭らしく風呂あがりの須郷の肢体を照らした。
清羅は上から覆いかぶさって、須郷の恥ずかしがる表情をじっと、見つめている。

「さっきまで風呂で見てたってのに、・・マサの反応が初々しいせいで、俺まで、恥ずかしい」
「うるせえよ・・・さっさと、はじめろ、」
「うおっ・・、」

グイと力強く須郷が清羅の身体を引き寄せると、驚いたのか、清羅は須郷の上に倒れこんできた。案外あっさりと清羅の身体を惹きつけることができたので、どうせなら、このまま、抱き合ったまま。二人で寝てしまっても、いいだろうか。と、ぼんやりと考えていると、清羅の手が須郷の身体を這い始めた。

「っ・・・・、」
「乳首はいじられた事あんのか?」
「いちいち、聞くな」
「なさそうだな」

ふっと優しく笑い、清羅の手が須郷の胸の突起に触れる。そんなところから、順に愛撫していくのかよ、と気が滅入りそうだ。

「っ・・・くすぐってえ、」
「最初は、そんなもんだろ」
「そうは言っても・・・、もう、さっさと下触ってくれよ・・清羅」
「・・ちょっとだけ、・・嫌ならやめるから、ダメか?」

お願いするように言われると、どうしても、断りづらいものがある。ぴりりと走る、快感とも取れない刺激のひとつひとつに、眉を顰めて耐えていると、清羅はそこに顔を近づけて、赤い舌でべろりと突起を舐め上げた。

「ン、ッ」

!と、驚きの表情で清羅を見る須郷。清羅はそのまま、何度かそこを優しく舐め、慣れてきたなと思えば、チロチロと、舌先で反応を煽る。
指先よりずっと、柔らかく粘膜に包まれているからか、脇腹を擽られた時にじんわりと感じるあの快感に似た、気持ちよさがふんわりと須郷の頭を締める。

「ん、・・・ん、」
「声、出しても誰にも聞こえねェぞ?」

両の唇で食んで、舌先に載せた突起をちゅっと吸えば、胸の刺激に慣れてきたらしい須郷の身体は面白いぐらいに跳ねた。


「やめ、・・・っ、そこ、ばっかじゃねえか・・・」
「イヤなのか?」

わかっているくせに。清羅は須郷に問いを投げかける。
恨めしい顔で須郷が清羅の裾を握ると、清羅はクツクツと低く笑い、乳首を愛撫したまま、手を須郷の下肢へと這わせていく。引き締まった腹筋を通り、ヘソを指先で撫でて、足の付け根をするすると撫でてやる。

「く、すぐ・・・っん、て、」

淑女にするような愛撫を延々と続けて、漸く、清羅が須郷の局部に触ってきたのは、身体が熱を持ちすぎて、たまらなく顔が赤面し始めた頃だった。

勃ち始めた一物をゆるゆると扱かれると、つい、腰が浮いてしまう。さすがにみっともなくて、須郷が口元に手を当てながら刺激に耐えていると、清羅は面白がって須郷の先走りを絡ませた指で追い立ててくる。自分で触っていなくともわかる。脈打つ熱いこの肉棒は、紛れも無い、快感の証だ。清羅の隙を許さない行為の全ては、須郷の理性を、いとも簡単に壊してしまう。

「あ、は・・・ッ、」
「もうイきそうか?」

声が時折上ずって、甘い、あまい響きが清羅と須郷の狭間でリフレクションする。感じているのだと、そう主張する須郷の蕩けきった表情が、清羅の下肢を刺激する。今すぐにでも。犯したい。なんと狡い、刺激なのだろうか。

「・・・は、き、よら・・・・、ん、っ、ん、イキ、そ、」
「そうだな・・・イキてえならイカせてやる。ほら、もっと聞かせてくれよマサ、俺に触られて、溜まらねえんだろう」

まるで、清羅が人を惑わす媚薬であるような、錯覚。
ほんのりと香る、香の匂いも、心を落ち着かせる反面、須郷の恥ずかしい部分を有耶無耶にしてしまって、気づけばみっともなく、清羅を求めていた。



下肢と下肢が絡まる。ぐずぐずになるまで慣らした須郷の中に、興奮のままに大きく育った清羅の熱い塊が押し入って来る。

「んっ・・・!は、ぁ・・・ッ、デカ、い、・・・っ」
「・・馬鹿、・・・煽んなよ・・ッ・・、」

ぎゅう、と清羅のモノを締め付けてしまい、苦しげに息を吐く男にどうにか小さくしてくれと懇願する。どうしようもないお願いを、清羅は聞くことはできずに、ワリィ、な、と口角だけ巧みに上げて見せて、須郷の中を暴いていく。

きついと言っても、質量の話だ。ぐずぐずになるまで清羅の指で溶かされたそこには、勿論痛みが伴う筈もない。己の中がすべて清羅で満たされる感覚に、うっとりと物欲しげな熱い息を吐いてしまう。
みっともないなんてわかっている。
男を求めて、足を開き誘う――イロの仕草を、することも厭わないほどに、心すらここに満たされている。

「、ッは、・・・っ、っ、」
「たまらなく、ヨさそうだなァおい?」

口調こそ荒々しいものの、眼差しは優しげに、須郷の瞳を捉えている。
じっとりと涙を浮かばせて、須郷は声を出すまいとこらえていたために、返事は睨み返すことしかできなかった。
それでも清羅には十分に伝わったらしい、何度も抽挿を繰り返し、局部から脳のてっぺんまで、伝わる甘い痺れが官能的で、ずっと浸かっていたいぐらいだ。

「・・ぁっ、あ、きよ、」
「堪えなくていいっつったろ?・・・・気持ち良いなら、――喘げ」

激しくなる交わり。無意識に口に当てていた手を不意に掴まれて、いやだ、と泣きそうな顔で清羅を見ても、須郷を甘やかしたくて、感じさせたくて仕方が無いのか、清羅はベッドシーツに須郷の手を縫い付けて、更に深いところまで、と強欲にも中身まで引きずり出されそうな快楽の揺さぶりに、須郷はひっきりなしに喘いだ。
(それもこれも、理性が可笑しくなるまで焦らした清羅のせいだ、)

いつもであれば、こんなふうに乱れたりなどしない。
生徒会長であったあの時の俺であれば、こんな快楽知らなかっただろう。

「ッぁ、!あ、ハッ、清羅・・・ッ、きも、ち、」
「良いか・・・ッ?此処、だよな・・・ッあァ、やっぱな、きゅうきゅう締めて、・・・可愛いやつ」

良い所をズッと優しく突かれれば、瞳の裏がチカチカするほど気持ちが良くて、風呂あがりの清羅の着流しの袖を指先て掬って、はくはくと口を動かす。お願いだから、

(そんなに甘い声で、俺を褒めるな)

何度もそこばかり突くのは、もう、

「イっち、まい、そうに・・・っ、んぅ、」

もう一度唇に降ってきた清羅の口付けを受け止める。

舌としたが絡まればくちゅくちゅとした音が鳴り響き、まるでウォーターボールの中にいるような鈍い感覚で、しかりはっきりと須郷を追い詰めていく。弱い部分を何度も突かれれば射精感が高まり、指先で掠めるだけなった清羅を、須郷は抱きしめた。

「っ、な・・・ッァ・・・、お願、イか・・・っんせ、て、くれ、」
「・・・・・まさむね、」

紅潮した顔で清羅は須郷を呼ぶ。
行為の全てだと知りながらも、求める様はまるで―――、

「なァ、マサ」
「、ァ、あッ、や、・・・なんっ、」
「・・・俺と一緒に居るのは、イヤ、か?」


もう一度額のはじまりから、ちゅ、ちゅ、と口付けはだんだんと下降する確かめるようなそれと、
下肢の絡まりは解かれることもなく、互いの欲望のみで、腰を打ち付けては深く繋がっている。

「いや、なわけ、ねえだろ、・・っ、」

今度は。

須郷が清羅の後頭部を引き寄せて、熱い息を吐き出した。


「俺はもう、、・・・お前、の、もの、だ、ろ・・・ッきよ、ら、」

吸い付くように唇を合わせると、清羅の腕がぎゅうと、須郷の背中を抱き締めた。









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