火傷する会長とキスする委員長





食堂に響き渡る大きな声に、周囲の人物ははたと顔を上げ、この学園の生徒会長、比井(ひい)に視線が集まる。声の主である比井は、庶民の味だなんだと会計が騒ぐので鍋焼きうどんを初見ながら頼んでみたものの、それがラーメンだ、そばだ、あたたかいうどんだ、その、何よりも熱すぎることに驚いた。
勢い良く湯気立つ土鍋に、まずは麺だろと安直に啜ったのが間違いである。
熱すぎるほどの鍋焼きうどんは、初めはレンゲに少しずつ取って食べるのが安全策であるのだが、腹が減っていた比井にそこまでの思案はできなかった。

「バカ何がっついてんだ」

隣に腰掛けていた風紀委員長の橋川に指摘を受ける。
比井は眉を顰めげっと子供のように嫌そうな、さも痛そうな顔で、やへどした、と情けなく呟く。少し涙目なのが、いつもの悠々自適で不遜な態度の比井に比べるとやや阿呆らしい。

「舌、見せてみろ」

仕方なさげに橋川が呟くので、べ、と舌を出す。
覗き込もうと近づいた数センチだけ高い橋川を上目に、舌を出して待っていると、橋川はきょとんと一瞬固まった。一体どうしたというのだろう。疑問を言葉にするより早く、橋川は比井の後頭部を掴み引き寄せた。

「ぃッ、・・・、!」

べろり、と舐めあげられた、舌。
火傷し耐え難いと訴え、突き出していたそれを、橋川の舌が絡めとる。
同時に激痛が舌からびりりと身体を駆け抜けて、比井は声にならない声を上げる。
痛みに途端に溢れ出す大量の唾液に、比井はだらしなく口を開けたまま、おい、おい、橋川、と力無く橋川を見つめるのだが、当の男は瞳を閉じた儘、一向に離す気は無いらしく、奥深くまで唇を重ねあわせたかと思えば、ずるずると、唇を伝って、舌を注挿する。愛撫、だ。これはまさしく、感じさせようと、しているのだろう、そうは思うのに、痛い。

「あっ・・・ひ、・・は、ひ、、」

はしかわ。そういいたいだけなのに、まるでうっとりとキスに没頭している女のような声が出る。喘ぎには全く近くないが、普段の声よりも数倍上擦ったそれ、に加えて、口の端から伝う唾液、痛みに涙を浮かべる瞳は、すっかり口付けに没頭する欲情の色だ。

「かいちょ、えろ・・・・」

何処からか書記の声が聞こえる。比井は離れようとしてくれない橋川の身体をグイグイと押しながらも、もう片方の手を握り締め、痛みに、耐える。
この男は火傷がどれだけ痛いのか、わかっているのだろうか。
いや、わかっていたらこんな質の悪いいやがらせなどしないだろう。
思考がぐるぐると脳内を駆け巡る中で、比井は何度も痛む部分を擦り上げる橋川の舌に唾液ごと絡められ、いつしか、涙を溢れさせていた。
はじめこそそう、痛みばかりが支配していたというのに、今こうして何度も何度も舌で痛い部分を刺激されると、段々麻痺してきたのか、ぴりり、と甘い、痺れのようなものさえ感じてきた。

「はし・・・っ、ん、・・・っぅ、・・」」

(ああ、こりゃ駄目だ。)

理解するよりずっと早く、反応を示し初めた比井の身体に、橋川は口角を上げた。



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※付き合ってません
twitterのひいさんの呟きに萌えてつい書いてしまった・・・・深く反省している・・・







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