大きさ比べ

「マルコ俺のこと好き?」
「い、いきなりなんだよい!」
ベッドに腰掛けて雑誌を読んでいたサッチが書類に向かい続けるマルコに問いかけた。
「だって俺のこと見てくれねぇんだもん」
「仕事なんだから仕方ないだろい!」
「ちょっとくらい俺の方見てくれたっていいだろ?」
「仕事の俺を気遣ってくれてもいいだろい?」
「……」
「な、なんだよい。その顔は!」
質問で返されて不機嫌な様子を見せるサッチ。
「そーだよなー。マルコは俺のことそんなに好きじゃないもんな。俺の好きの方がマルコより上だもんな」
「ちょっと待てよい」
「ん?」
「その言い方棘があるよねい」
「だって本当のことだろ?」
「そんなことないよい!俺だってサッチのこと好きだよい!」
「嘘だ」
「嘘じゃないよい!」
サッチの言葉にむきになるマルコ。
「へぇ、それじゃどのくらい俺のこと好き?」
面白げにサッチが聞いた。
「こ、こんのくらいだよい!」
マルコは立ち上がった。
「へ?」
マルコの示した行動にサッチは唖然とする。
「ぶっ、くくくっ……」
「な、なんだよい!」
「いや……」
マルコは自分の腕を精一杯広げてその愛の大きさを示していた。
可愛らしい行動に笑いの止まらないサッチ。
だがふと思いつきマルコに笑顔を向ける。
「やっぱり俺の方が上だな」
「なんでだよい!」
自分の方が上だと言われてマルコが突っ掛かる。
「マルコがどれだけ俺を愛してくれてるかは十分わかったぜ。でも俺はこのくらいなんだよ」
そう言ってサッチはマルコと同じように腕を広げて見せた。
「な?俺の方が上だろ」
「どこがだよい」
全く同じ動作で示されても自分の方が下とは納得がいかない。
「ほら」
サッチが立ち上り片手をマルコの手に重ねる。
対になる腕と腕。
けれど片手から伸びるその対は途中で途切れる。
「俺の方が大きいよな?」
確かめるようにマルコに囁いた。
「こんなのずるいだろい……」
途切れたのはマルコの方の腕。
マルコとサッチの体格差を考えれば当然のことだった。

「俺には勝てないだろ?」
笑うサッチにマルコは何か言ってやりたかったが何も思いつかない。
するとサッチは重ねた手を絡めてきた。
「マルコ」
愛おしく名前が呼ばれる。
当然サッチが優位であり、マルコはこのまま流されてしまうのだろう。
けれど悔しい。
「……」
「マルコ?」
絡められた手が解かれる。
体を離されてしまったサッチは少し慌てたがマルコはその顔をキッと睨んだ。
「サッチ!」
「な、なんだよ?……うわっ!?」
マルコの突然の大声と行動にサッチの口から驚きの声が漏れた。
「……俺はこのくらい好きだよい」
一度は離れたマルコの体がサッチの胸に飛び込んだ。
広げられていた腕が今サッチの体を抱く。
「どうだい?」
「あー……もう敵わねぇなぁ」
思わず目を覆うサッチ。
「俺の勝ちかい?」
「ああ、お前の勝ちだよ」
抱きついたマルコを抱きしめ返すサッチ。
「責任とれよな」
「何のだよい」
「俺を愛しすぎた?」
「……バカだろい」
「お互い様だろ」
そのまましばらく見つめ合っていたがサッチがくすりと笑った。
「それじゃあ、愛の確認でもしましょうか?」
「お前はいっつもそれだよい」
「別に構わねぇだろ?」
「いいけど手短に済ませろよい。まだ仕事が残ってるんだからよい」
「無茶言うなぁ」
サッチの苦笑が響き、抱き合った体はゆっくりとベッドに落ちた。



清花ちゃんに捧げます!

遅れてしまいましたがお誕生日祝いとして贈らせていただきます。
本当におめでとう!
大好きです(●´ω`●)


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