行き着く先(1/4)

「殺したくば殺せ」
そう言葉を放った瞬間、狂気に染まった青目が驚愕の色を見せた。



「何言ってんだよ」
震える唇が答える。
そう訴える声と眼差しは今にも泣き出しそうな雰囲気で、青く澄んだ美しい瞳は濁りを見せていた。
歪み、哀しみに満ちるその目に元就は目を細めた。
「俺はあんたを殺したくなんかない……!」
訴えかける恋人の言葉。
自分を想うがゆえの言葉は元就の心を満たす。
だが、それでも訴えかける元親のその言葉をありのままに受け入れることは元就には出来なかった。
思い出されるのは遠い昔の記憶。
激昂したその相手も瞳の奥に深い哀しみを覗かせていた。
胸に押し寄せる哀しみを振り払うように復讐に駆けるその姿。
憎悪の炎が轟音を立て燃えていた。

元親も知らない秘密が元就にはあった。
それは誰にも明かせない、明かしたところで信じて貰えるはずの無い秘め事。
だが元就の言う事であればきっと元親は信じるだろう。
そもそもその秘密は元親にも関係していた。
けれどだからこそ言えぬものでもあった。


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