君に勝るものなし

ピタリ。
マルコとの買い物中、思わず足を止めた。
そのままじっと視線の先の人物を眺める。
「何してんだよい」
足を止めた俺にマルコが声をかける。
「あっ、いやなんでもない」
そう言って、マルコの元に駆け寄る。
「何見てたんだよい」
怪訝そうに尋ねる。
「だから何にも……イダダダダッ!」
「言えよい」
容赦なく耳を引っ張るマルコ。
痛みからバシバシとその手を叩くとようやく離してくれた。
「う〜いてぇ……」
赤くなった耳を擦る。
「で、何だよい」
「いや、その……・本当に俺でよかったのかなぁって。だって、ほらマルコもてるし……。今のお姉さんたちだってお前のこと見てただろ」
マルコの問いに渋々言葉を述べる。
本当はこんなこと言いたくなかった。
だって、こんなことで愚痴を言う男なんて女々し過ぎるだろう?
だが、マルコはそんな俺を見て事もなげに言った。
「興味ないねい」
実にあっさりとした口調だ。
「嘘、あんなに美人なのに」
思わず本音がポロリと出る。
「へぇ、ああいうのが好みなのかい」
ちょっと不機嫌にも感じるマルコの声にしまったと思った。
「あ、いや。もちろん、マルコが一番だけど……!」
「わかってるよい」
悠然と笑うマルコ。
ひでぇ、からかってたのかよ。
思わずその尻を蹴り飛ばしそうになった。
「まぁ、確かに美人の部類かもしれねぇけどよい」
そう言って女に向き直るマルコに、自分から言い出したくせになんだか嫉妬した。
だがマルコはすぐに俺のほうに向き直り、平然と言った。
「俺は変に厚い化粧重ねて色気振りまいて回る女より、未だに赤くなって素直に足も開けないようなお前の方が何倍も可愛いと思うよい」
その言葉に自分の顔に一気に熱が集中するのがわかる。
「なっ……なっ、なに言って……」
マルコの衝撃的な発言に言葉が上手く発せない。
そんな俺を見てマルコは面白そうに言葉を続ける。
「まっ、もっと回数を重ねれば段々と慣れるだろうよい。だから……」

“覚悟しとけよい”

熱い息がわかるほど近くにマルコの唇が寄せられ、息を呑むような言葉が告げられる。
顔が更に赤くなるのを感じた。
「ひっ!」
マルコの舌がべろりと耳を舐めた。
その拍子に抱いていた荷物が手から離れる。
「おっと」
器用にそれを受け取るマルコ。
「こいつは俺が持ってやるよい。ほら、戻るぞ」
重い荷物を片手で軽々と持ち上げるとマルコは歩き出した。
その後姿を呆然と見ていたが、我に返って急いでその背中を追った。


(なぁ、マルコ。今夜もするの?)
(したくないっていうなら我慢しようかい?)
(……お手柔らかにお願いします)
(そりゃお前さん次第だねい)



乙女ッチ!
かっこいい彼氏を持つと色々大変なんですよ。
本当に自分でよかったのかなぁって、何度も繰り返すんです。
まぁ、マルコの眼中にはサッチしかいないと思うけど。
思い悩むサッチを見て、馬鹿な奴だなぁとか思ってればいいと思います!


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