日常

しばらくぶりに風邪を引いた。

書きかけの書類もお預け、即ベッドに縛り付けられた。
体はいつも以上の熱を発し、ほんの少しだるかったけれどなんだか悪くないと思った。
傍にいてくれる人がいるから。

“熱は下がったか?”

おでことおでこがくっつき、伝わる冷たさにしばし目を閉じる。
心地良さにほんの少しだけ熱を忘れた。


“俺が食わせてやるよ”

断ろうとする自分を押し切る笑顔。
湯気の立つスプーンをその唇が冷ます。
程よい温度になった白粥が口の中へ。
人に食べさせてもらうというのはちょっぴり照れ臭いけどなんだか悪くない。
“美味しい”と呟く自分を見て君が嬉しそうに笑うから。

優しさに癒されて、この風邪が治るのももうじき。




しばらくぶりに喧嘩をした。

互いにそっぽを向いて、口も利かないで、飯も一人きり。
遠くに見える君も一人きり。
同じ場所にいて、いつも二人なのが今は一人きり同士。
なんだかとても気まずい。

ムシャクシャしてケーキを食べ過ぎても止める者はいない。
大きくため息をついても応えてくれる者はいない。
自分のため息の後、聞こえてきたもう一つのため息は君のものだろうか。
まだちょっぴりムカつくのだけどやっぱりなんだか気まずい。

仲直りの行為は何にしようか、また一緒にいたいな。



風邪を引いたり、喧嘩したり、色々ハプニングもあるけれど。
たまにはこんなのも、なんだか悪くない。
いつもだったら困るけど。
でもたまにだったらこんなのも悪くない。
君の色々な表情が見れるから。
やっぱり君が好きだと感じることが出来るから。

風邪を引いたらずっと一緒にいて手を握っていて。
喧嘩をしたらまた仲直りをしよう。

そしてずっとずっと俺の傍にいて。


K/O/K/I/Aさんの『I catch a cold』を元に書かせていただきました

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