新婚さんごっこ

「マッルコ〜!お・か・え・り(はぁと)」

「・・・・・・」

「あれ、反応なし?」

「・・・何考えてんだよい」

サッチの姿を見てマルコは頭を抱え込む。

「ほら、俺たちって新婚だから♪」

「いつ結婚したんだよい」

「覚えてないのか?昨日の宴で『サッチと結婚するよい!もう離れたくないよい!』って言ってただろ?」

「ん、んなとこ言ってねぇよい!////」

「いいや、言った。なぁ、どうだ。似合ってる?」

腰をくねらせセクシーポーズを決めるサッチ。
その体が纏っているのはフリルなエプロン。
まるで新妻が夫を迎えるような衣装である。
けれど、これだけならまだ頭を抱え込むようなことはなかった。
気にすべく点はエプロン以外には何も着ていないということである。

「気持ち悪いよい」

「うわ、ひでぇ」

笑う顔に傷ついた様子は全くない。
ため息を吐くマルコにサッチはその姿で堂々と歩み寄る。

「なぁ、疲れてんだろ。たっぷり癒してやるからさ」

手が頬に触れて唇に柔らかいキスを落とす。
エプロン一枚の肌から伝わるのは鼓動とじわりとした熱。
離れた唇がマルコの首筋に触れて優しく吸い上げる。
淡い花弁が花咲いてそれを愛おしげに指がなぞった。

「・・・どこが癒しなんだよい。襲われてるだけじゃねぇか」

早まりつつある鼓動を誤魔化すように口が動く。

「ほらマッサージとかしてやるから♪」

スッと内股を滑る手にマルコの体がビクつく。

「どうした?」

緩やかに笑む顔。
けれど目は笑っていない。

「・・・たち悪いぞ」

不貞腐れたような態度にサッチはただ唇を耳元へと寄せた。

「それはその気になったってことか?」

侵される耳。
脳髄へと伝わる囁きはマルコの肌を染めた。

「わぁ、真っ赤」

茶化すような台詞に睨みあげる瞳も意味をなさない。

「なぁ、お風呂にする?食事にする?それとも・・・俺にするか?」

問う唇はまたも肌を吸い上げ、鼻筋に当たる髪から匂いが香る。

「なぁ、どれがいい?」

しばしの沈黙。
やがて告げられる言葉に歪む唇が目の前の唇を奪った。



※一方、外では・・・


2「あの格好じゃどんなにかっこよく決めても台無しだな」

12「うげっ!あいつら何してんだよ」

5「やれやれ迷惑なことだな。あれでは丸見えじゃないか」

2「なんでドア閉めねぇんだろ」

16「アホだから気づいてないんじゃねぇか」

2「どうする?」

12「お前閉めに行けよ!」

2「何で俺が!って、なんか始めちゃいそうなんだけど!?」

16「いっそのこと録画でもして船内にばらまくか」

2「どんな鬼畜!?」

5「どうでもいいが後は任せたぞ」

12「俺も行くわ。あんなもん見てたら身震いするぜ」

2「えっ!ちょっと!」

16「で、どうする?このまま放っとくか、閉めに行くか」

2「イゾウはこのまんまでいいのかよ!」

16「俺に害はねぇ」

2「うううっ・・・」

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