悪戯の代償

久しぶりのバカンス。
船を下りて多くの隊員たちが羽を伸ばし遊んでいる。
グランドライン屈指のリゾート地でもあるここは海賊船も出入り自由だ。
そしてそんな隊員たちに紛れてサッチとマルコも同じように羽を伸ばしていた。



「サッチ、もう出せよい」

「なんだ?もう出たいのか?」

「当たり前だろい!」

「ハハハッ。じゃあ、出るか」

マルコの言葉にざばりと水しぶきを立ててサッチは上へと上がる。
その腕の中にはぐったりとしたマルコがしっかりと抱えられていた。

「大丈夫か?」

力のない体を近くのシートの上へと横たえる。

「白々しい、お前が入れたくせに」

笑うサッチの顔をマルコは恨めしそうに睨んだ。

サッチに誘われ無理矢理入れられたプール。
能力者であるマルコは当然力を失った。
体についた水がまだ重く圧し掛かる。

「せっかく水着も着てんだから入らなきゃもったいないだろ」

「ふざけんな」

マルコは舌打ちしてサッチから顔をそむけた。

冷たい水から出た体を日光が照らす。
体の表面の水分が蒸発して代わりに温かい日差しが体に浸透していく。

マルコは次第にその温かさへと引き込まれていった。


「マルコ寝るのか?」

「・・・悪いかよい」

「いや、そうじゃねぇけど」

さきほどから瞼の開閉を繰り返すマルコにサッチは苦笑していた。

「お前のせいで疲れたんだよい」

「だから悪かったって」

謝りながら濡れたマルコの髪をサッチの手が撫ぜる。
その仕草に眉根を寄せていたマルコだがしばらくして口を開いた。

「ならその腕貸せ」

頭に触れる手を握り、引いた腕にマルコは己の頭を乗せた。

「腕枕ですか?マルコさん」

その行動にサッチは驚くもすぐ笑みを浮かべた。

「悪いと思ってんならこれくらいいいだろい」

ぶっきらぼうに言葉を述べ、マルコは目を閉じる。

「もちろんいいぜ」

そう答えてサッチは目を閉じた体に身を寄せた。
先ほどまで辛そうだった体は穏やかな呼吸を繰り返している。

「おやすみ」

すでに眠りに落ちた体のその重みを腕に感じながらサッチもその瞳を閉じた。

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