夏の話

「でな、マルコ」
「ふんふん……へぇ、そうかい」
「そうなんだよ」
「そりゃ、面白いねい。そうだ、俺の話も聞いてくれるかい?」
「もちろん。なんだ?」
「あのな……」

「暑苦しい」

耐え切れずにぼそりと呟いた。
「えっ?何だって?」
「暑いのかい?エース」
俺の呟きに二人が反応を示す。
「おう、暑すぎてうざい」
うんざりしながら言う。
「今日はそんなに暑くねぇと思うがな」
「そうだよい。昨日の方がよっぽど暑かったよい?」

そうじゃない、お前らだ。

さきほどから飯を食べている俺の前でいちゃいちゃ、いちゃいちゃ、し過ぎだ。
見ろ、俺以外に周りに人がいねぇだろうが。
お前らの様子が見るに耐えないからってわからないのか?
「だいたい火のお前じゃ暑さなんて感じねぇんじゃねぇの?」
「いや、エースだって一応人間だよい?」
アホか、暑いに決まってんだろ。
失礼だろ、サッチ。
マルコも一応って何だ、一応って。
「で、マルコ、さっきの話は?」
「ああ、そうだったよい。それでよい……」
俺への興味も一瞬。
また二人の世界に戻ったやつらは口だけじゃなくて、手も忙しく動いている。
「ちょっと、サッチそこはだめだろい?」
「少しくらいいいだろう?」
「エースがいるよい」
「気にすんなって、ほら……」

バンッ

「「?」」
机を叩いて立ち上がる俺に、疑問の顔を見せる二人。
「俺、暑いから外に出るわ」
これ以上目の前で進められてたまるか。
「外の方が暑くないかい?」
「ここよりましだ」
「そうか?」
「そうだ!じゃあな!」
怪訝に思う二人を残して、俺はその場から逃げるように立ち去った。


(なぁ、外の方が絶対暑いよねい?)
(しかも飯の途中だったぜ)
(雪でも降るかねい)
(ははっ、そりゃいいな。それよりマルコ、さっきの続き)
(えっ、でも……)
(エースもいなくなっただろう?)


暑いのは気温のせいじゃない

(お前らだ!byエース)

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