子育てしましょ♪

「あ〜平和だ」
「ホント怖いくらいだねい」
脳裏に浮かぶのは忙しかった日々。
「もう誰も小さくならないよねい」
「そう願うぜ」
バタタタタッ!
「なっ、なんだよい!?」
のんびりと陽に当たる二人の横をエースが駆けていく。
「おい、エースじゃねぇか!何してんだ?」
「えっ、何でもないよ!?」
サッチのかける言葉に裏返る声。
明らかに挙動不審だ。
「その態度で何にも無いってのはないだろい」
マルコが詰め寄る。
「何隠してんだい?」
「だから、何にも……!」
「へぇ、そうかい」
バキバキと拳が鳴る。
「おかしいなぁ。あんなに素直なやつが。躾けし直さないとだめかな?」
サッチも腰に掛けていた刀に手を当てた。
「待って!待って!二人にこられたら俺死んじゃう!」
「なら、話せよい」
「そうだぜ」
凶悪な二人に迫られエースは渋々に頷いた。



「おい、遅かったじゃないかエース。って、マルコもサッチも一緒かよ」
はぁ、とため息を吐くイゾウ。
「ごっ、ごめん」
「ったく仕方ねぇなぁ」
不機嫌なイゾウにエースはビクビクしている。
マルコとサッチはそんな可哀想なエースのことなど見向きもせず二人とも目の前の人物をじっと見ている。
「誰だよい?」
「また誰か縮んだのか?誰だ?」
目の前の子供を凝視するが誰なのか全く見当がつかない。
「……オヤジだ」
「へぇ、オヤジね。オヤ……はああああ!?」
「ホントかよい!」
「間違いない。今朝オヤジの部屋を訪ねたらベッドにキョトンとした顔で座ってたからな」
実に可愛かった、とビスタが答える。
「これがオヤジ……」
「可愛いよい!」
呆然と呟くサッチと裏腹に今にも子供に抱きつこうとするマルコ。
「おい、待てマルコ」
「何だよい」
その行動を止められて不機嫌が剥き出しになる。
「大体なんで教えてくれないんだよい」
「そりゃ俺らが世話するからだよ」
「何でだよい!俺らがずっと子供になったお前らを世話してたんだぞ!」
「だからだ。今回はゆっくり休めよ」
イゾウがマルコの肩を叩く。
「そうそう、俺らがちゃんと世話しとくから」
ハルタもにこにこと笑う。
「本当は俺が世話したかったんだがな。こいらに見つかってしまったから」
残念そうにビスタが呟く。
「俺もするする!」
エースも手を上げて割り込む。
「駄目だよい!俺が世話するよい!」
「お前は疲れてるだろ」
なおも言うイゾウにマルコが食ってかかる。
「俺の方が手馴れてるよい!お前らこそ慣れないことすんなよい!」
「おっ、俺はルフィの世話でちゃんと慣れてるぞ!」
エースが素早く答える。
「俺も子供には好かれるからな」
ビスタも答える。
「俺だって子供に近いんだから子供の気持ちはわかるぞ!」
普段なら子供扱いを嫌がるハルタもこの通りだ。
「俺に出来ないことなんてないさ」
イゾウも悠然と答える。
「とにかく俺も世話するよい!」
誰が小さくなったオヤジの世話をするか騒ぎ出し、その結果他の隊長たちや隊員も集まってきてさらに騒ぎは大きくなった。
結局は横から入ってきたナースの軍団にオヤジを奪われてしまったのだが。
それでもマルコだけはナースに嫌がられながらもオヤジにべったりとついて回っていた。
自ら鳥にもなりオヤジを乗せて緩みきった笑みを浮かべている。
「ハーレムだよな」
悔しがる隊長たちの傍らサッチがほんの少し羨ましそうに呟いた。

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