敵わない

おれには好きな奴がいる。
…誰にも言ったことねぇけど。
「…エース。いつまでそこにいるつもりなんだい?」
考え事をしていると、イゾウに話し掛けられた。
「うわぁ!急に話しかけてくんなよ!イゾウのバカ!」
この今話してるイゾウは、初めて会う人に必ず女に間違えられる。
おれは間違えなかったけど。
どこをみたら女だと思うんだろうな?
イゾウこんなにかっこいいのに。
まぁ、とにかく、イゾウは美人だ。
だけど…。
「誰が馬鹿だって?」
実は性格は誰よりも男っぽいんだ。
今だっておれの額に銃当ててるし。
…こういう時は謝るに限るな。
「ご、ごめんなさい」
おれが素直に(恐怖に負けてとも言うが、)そう言うと、イゾウは軽く笑って銃をしまった。
それだけでおれの心臓は馬鹿みたいにはやくなった。

(…今の反則だ。)

実はおれは、イゾウが好きだったり、する。
話すだけでもドキドキするし、笑ってくれるとバクバクする。
今だって心臓異常にやべぇし。

(顔あかくなってねぇよな?)

「…それで?こんなとこにずーっと突っ立って…。どうかしたか?」
そんなおれに差して気にする事もなく、イゾウは言う。
それに少しホッとしながらイゾウの疑問に答えた。
「ずーっと?」
「ずーっと」
…まずい。あのイゾウがわざわざ伸ばすなんて、よっぽどだ。
それでも驚きを隠せなくて、イゾウにおれはきいた。
「ち、ちなみにどのくれぇなんだ?」
「1時間くらいじゃないか?」
イゾウは何でも無いことのように言ったが、よっぽどのことだ。やっぱりよっぽどだ。
「うわ…」
え、何してんだおれ。
そんな自分に目眩すらした。
「それで?おれの部屋の前で何時間も…。何の用なんだ?」
イゾウはおれの行動をあまり気にしてないのか、何てこと無いかのように聞いてきた。

(…そういえば、)

ここイゾウの部屋の前なんだよな。忘れてたけど。
あ、だから見兼ねてイゾウが部屋から出てきたんだな。
「エース?」
反応しないおれを不思議に思ったのか、イゾウがおれを呼んだ。
「あ、わりぃ」
つい考え事を…。

(またやっちまった…)

同時に何かをやるのが苦手なおれはよく考え事をすると黙る習性があるみたいだ。
マルコとかはよくそれを怒るけど、イゾウは怒ったりしない。
「まぁいいさ…。それで、何か用かい?」
ほらな?
でもそうだった。おれ、用が合ったんだ。
…1時間も悩んだけど答えでねぇし、もう聞くか。
震える自分の声には気付かねぇふりして、少し汗ばんだ自分の手をおれはギュッと握った。
「あのさイゾウ。おれに好きな奴がいたとしてさ、」
「…あぁ」
「そいつにさ、おれの想いは伝わってると思うか?やっぱ言わなきゃ駄目か?」
本人に聞くなんて可笑しいかも、でもおれはその答えがどうしても欲しかったんだ。
言うのは、恥ずかしいし、な。
「…まさかとは思うが、1時間もここで悩んでたのはそれか?」
頭を抱えたかと思ったら、イゾウに言われたのはそれだった。
「えっ、よくわかったな」
さすがイゾウ。…イゾウ天才!?
なんて思ってると溜め息をつかれた。
「確かにおれは天才だが、お前さんが馬鹿なのもある」
「ひどくね?」
馬鹿じゃねぇし。
つか心読むなよ。
するとイゾウは何かを思い付いたのか、何故か急に妖艶に微笑んだかと思うと、おれの腕を引っ張った。
「イゾウ!?」
そして気づけば、イゾウの腕がおれの腰にまわってた。
つか近い!!心臓破裂する!!
「ちょっおい!離せよ!」
パニックになって、必死にイゾウの胸を押しても全く微動だにせず。
「そうだなぁ」
そしておれの話しも努力も丸無視でイゾウは話し始める。
ちょっと、泣きたくなった。
「相手はお前さんの気持ちを知っていても言葉にされるのを待ってるんじゃないか?」
そう言い終わらないうちに、イゾウに抱き締められて、気づいた時には唇に何か暖かいものが当たってた。
「―〜!!」
おれがキスされたことを理解したのはイゾウの唇が離れた後だった。
あ、あまりの恥ずかしさに涙出た。
「まるで林檎だねぇ」
イゾウは楽しそうな声を出して、おれの涙を指でそっと拭った。
その声に、恐る恐る上を見上げると、変わらずの妖艶な笑みを浮かべたイゾウが居た。
「…それじゃあおれは寝る。おやすみ、エース」
そしてまるで何もなかったように、イゾウは部屋に戻っていった。
おれはというと…。
「こ、腰抜けた…」
その場に座り込んでいた。
なんか、もう、イゾウには一生敵わない気がする。
それからマルコとサッチが来るまでの2時間。
おれはそこで固まってた。

君には敵わない

「おいエース。そんなとこで何してんだよい」
「お、本当だ。イゾウの部屋の前なんかで、どうした?」
「へ、あ…。…今何時!?」
「少なくとも夕食はもうねぇよい」
「うそだろおぉぉお!!?」
「あー、泣くなエース。ほら…。おれがなんか作ってやるから」
「甘いものがいいよい」
「マルコにじゃねぇよ。あーもー」
「ぐすん。サッチぃ…」
「…あんまサッチにベタベタすんなよぃ」



優月様よりいただいちゃいました。
イゾエー!(//°д°//)ノシ
なんだか終始やられっぱなしのエース可愛いww
イゾウさんはやはり男前で上手ですねぇwww
大人の色香があります。
押されっぱなしのエース君が今後どう出るかにちょっと期待w
でもからかわれて終わりそうなきもするww
微笑ましくもにやっとしちゃうカップルですね^ω^
ラストではさり気にマルコが嫉妬してるww可愛い奴め…。
素敵な小説、本当にありがとうございました!(●´ω`●)


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