小説3 | ナノ
▽ イヤな予感


三対三が終わると入り口から走ってきたのは今年からバレー部の顧問になった武田先生
あわてた様子でこちらへ来ていきなり組めたと言う練習試合の日程
しかも相手は県ベスト4の青葉城西高校
それを聞いた瞬間眉間にしわが寄ったのが自分でもわかった
なるべくあそこには行きたくないのだ…色々な事情で…しかしマネージャーなだけの私は私情のため行くのは嫌だとは言えない
そう思いながら先生の話を聞く
日程は今度の火曜日バスを借りて青城へ向かうらしい
そして最後に先生は向こうの出した条件を言った

「影山くんをセッターとしてフルで出すこと」


それは今まで烏野で正セッターとしていたスガが控えにまわるということだった
田中がそのことについて不満を言うがそれを押さえたのはほかでもないスガだった

「い…良いじゃないかこんなチャンスそう無いだろ」
「良いんスかスガさん!烏野の正セッターはスガさんじゃないスか!」

そう言う田中にスガは前を向いてハッキリと言い放つ

「……俺は…俺は日向と影山のあの速攻が4強相手にどのくらい通用するのか見てみたい」


そう言って大地と視線を合わせ先生に続けるよう促す
そして部活は滞りなく終わった


そして翌日青城との練習試合でのポジションが大地から発表された
そこには背の高い人が重要なミドルブロッカーに日向が入っていた
そしてセッターに影山、もうひとりのミドルブロッカーに長身の月島が入っていた
影山は日向に囮だといって説明する

「お前が機能しなきゃ他の攻撃も総崩れになると思え」

ピシャリと日向が固まる
それをみて大地がプレッシャーかけるなと影山に言うが影山はわかっていない
そして肝心のブロックは日向の場合叩き落とすのではなく触ることを目的としてブロックしてもらうということだった
そんな方法がうまくいくか分からないがやってみることで何かが分かるといっていると日向は先ほどの影山によるプレッシャーで見るからにテンパってしまった
それから1日経ち月曜日になっても日向の緊張は解けないまま練習試合当日を迎えた



▽▽▽▽


火曜日 私立青葉城西高校

バスの中で日向が戻してしまい田中のジャージが悲惨なことになってしまったが無事につけた
田中の無自覚のプレッシャーが日向の調子をまた下げていくのを片目で見ながら青城の敷地内を眺める
もしかしたら三年前私は烏野ではなくここにいたのかもしれないと思うと少し感慨深かった
てゆーかまず今日はアイツに会うし、彼にも会うことになる…それはまずくはないが少し嫌だった。
そもそも最近軽い捻挫をしたとかで練習にあまり参加できないとぼやいていたのだがアイツはちゃんと出るのだろうか…?

『…アレ?みんないない…はぐれた?』

考え事をしていたら周りは誰もおらずいるのは青城の制服を着た生徒がチラチラといるだけで黒のジャージを着た彼らの姿はなかった
どうしたものかと考えていると電話がなった

『もしもし?』
《及川!!今どこにいる!?》
「大地、えーと…多分靴箱?校内地図見ればわかると思うから体育館行ってて」
《ばっ!!お前…いや、時間ないから迎えには行けないがちゃんと試合には間に合わせろよ》
『了解です』

主将のお達しを受け校内地図を見ながら体育館へ向かうがその数分後には先ほどと同じ靴箱がある場所に戻ってきてしまった
アレ?と思いながらもう一度地図を見て烏野を出る前に聞いていた第三体育館へと足を進めるが今度は別のよくわからない場所へとたどり着いてしまった

『迷った?』

どうしたものかと思いながらその辺をさまよっていると不意に肩を叩かれ驚きそちらをむく

「お前なにやってんだよ…」
『あ、』

そこには青葉城西の白をメインとしラインには水色を使っているジャージを着た何年も前から知っている幼なじみがいた

『はじめちゃん、久しぶりー!!』
「久しぶり、じゃねーよ!!何してんだよ!?」
『いや〜迷った?』
「お前方向オンチなんだから知らないとこきたら人から離れるなって昔言ったじゃねーか!!ったく、第三体育館だろ?行くぞ」

彼…岩泉一は青城の生徒であり、バレー部員であり、私の幼なじみでもある
彼に腕を引っ張られながら目的の場所へと早歩きで向かう
第三体育館へは彼のおかげであっさりと着いた
そこにはすでに練習試合を始める準備が整っていた
烏野の姿を見つけ駆け足でそこへ行こうとしたが足を止めはじめちゃんの方へ体を向けた

『はじめちゃん!ありがとう!でも試合はウチが勝つから!!じゃ!!』
「おー、ウチも負けねぇよ!!」


烏野の方へ行くとスガがこちらを見て手招きしてきた

「及川!!お前方向オンチなんだから一人で行動するなって言ったろ?」
『ごめんなさい。』
「でもよくたどり着けたな」
『たまたま知り合いがいて…ねそれより日向は大丈夫?』
「多分…結構ガチガチに緊張してる」


日向に視線をやるとちょうど潔子が大地に何か言われたのか日向の肩にポンと手をやり頑張ってと言っている所だった
そのやりとりで余計日向ガチガチに緊張してしまったみたいだった
それを見ながら事前準備を手伝えなかったことを謝りに行こうと潔子のもとへ向かう

『潔子!ゴメンね!!一人で準備させちゃって』
「それは大丈夫だけど、日菜子今度からは私にちゃんと着いてきてね」
『ハイ…』


私は迷ったことを注意され、日向は緊張が解けないまま青葉城西高校対烏野高校の練習試合が始まろうとした



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