※先天性にょた13が出てきます

カイジさんがバイトに出掛けている間、何をするわけでもなく煙草をふかしていたところだった。
――来た。
この時間にこの気配は、あのガキ以外にない。
煙草を灰皿に捩じ込み、今からなら玄関から出ても間に合うと思って立ち上がった瞬間。後ろに引き倒されてマウントポジションをとられた。遅かったというか窓から入られたようだ。

「…猿か?」
「やだなあ、そんな例えしないでよ」

俺の腹の上には、セーラー服を纏って意地悪くわらう、俺に似た顔のガキがいた。

こいつは発展途上とはいえ生物学上女性であり、なぜこんなことをしてまで俺を捕獲するのかというと。彼女は単に『遊びたい』だけなのだ。
ただその『遊び』が、俺にとっては避けたいものであることから毎度毎度逃走を図っているのだが、勝敗は五分五分といったところになっている。本気で逃げようと思えば容易いことだが如何せん女に手をあげるわけにもいかない。

「ほら観念した?今日もかわいくしてあげるから」

楽しそうな彼女に、俺はやれやれと諦めの姿勢を見せた。
彼女の楽しみは俺を女装させることだ。
「キレイな顔してるんだからいいじゃない 」と言ってはいるがそれは遠回しに自分を誉めていることになるということを理解しているのかはわからない。加えるとこの行動が楽しいのかもわからない。が、少なくとも彼女は楽しそうであるのでいいとしよう。

「今日は派手にいこうと思って」

そう言って彼女が取り出したのは黒地に白のレースが映える、いわばゴスロリというようなものだった。
げんなりとした表情を隠しもしない俺に彼女は追加弾を放ってきた。あとこれね――そういって投げられたものはどうみても、
女性下着――

「おい」
「ほら脱いだ脱いだはいたはいた」
「…おい」

静かな押し問答の末、パンツ以外のものは不本意ながら大人しく身につけた。ヘッドドレスも手袋もオーバーニーもはいたがパンツだけはどうにかならないのだろうか。よく見たらガーターベルトまで準備していた。こいつ…

「早く脱げよ」
「脱がねえよ」
「これで完成なんだから早く脱げよ」
「だから脱がねえよ」
「ふーん…じゃあ脱がないならカイジさん呼んでこの格好見せちゃおうか」

用意周到、尚且つ、卑怯だ。
今まで何度もこの遊びに付き合わされてきたがカイジさんに直接見られたことはない。見られたら即盛られそうなのでこちらとしては是非避けたいところだ。
いーい?と小首を傾げる悪魔。先程まで小悪魔にとどめておいたが、これで完全に脳内の彼女の肩書きは悪魔に昇格した。

「そんなに嫌なら仕方ないな、後ろ向いてよ」

やめてくれるのかと期待して後ろを向いた、その時。
ガチャン、という冷たい金属音が両手の自由を奪った。

「こんなもんどこで手にいれるんだ」
「企業秘密にきまってるでしょう」

手錠まで用意して来るとは思わなかった。
お前はなんの企業なんだ。

そのまま押し倒され、スカートの中に手が入れられる。パンツのゴムを掴まれ、勢いよく引き抜かれた。こいつは本当に女なのだろうか。

「どう?ノーパン」
「…スースーして気分が悪い」

にやにやと笑いながらガーターベルトを持ってスカートをたくしあげる悪魔。俺は身動ぎをするが上手く動けない。

「やめ、ろっ…」

晒される性器。彼女の口角が更につり上がった。

「カイジさんに見られるの想像したの?やらしいなあ、ちょっとだけど勃ってるじゃない」
「うる、さい…」

する、とその半勃ちの性器に下着を被せ、サイドの紐を結んでいく。面積の少ない布地にくっきりと性器の形が浮かび上がった。あまりの羞恥に顔が凄まじく熱い。
これで完成だと喜ぶ彼女に、もういいだろ、と口を開こうとしたその瞬間、ドサリとなにかが落ちる音がした。落ちたと見られるものは小さめの買い物袋で、落としたのはといえば。

「あ…カイジさんだ」

悪魔のその表情からわかったことは、最初からここまで仕組んであったということだ。

「おま、えらなにしてっ」
「ちょっと遊んでただけ、手は出してないから安心しなよ」

カイジさんの顔は真っ赤だ。
多分俺の顔は全てを超越して元の色に戻っているかもしれない。

「そうだ――もう帰るからさ、好きにして?」

彼女はご丁寧にローションのボトルを投げて、去っていった。
残された俺たちは暫く硬直していたのは言うまでもない。

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