頭の中が真っ白のまま、朝日を受けた身体だけが勝手に目覚める。霞んだ視界がはっきりとした頃には、目の前に白い髪があった。ああ、そういえば抱き締めたまま―――

「…っ!!、!!」

全ての記憶を蘇らせたところ、解決したんだという安心感と共にとてつもない羞恥心がカイジを支配した。無理もない、性別を越えた一世一代の大告白だったのだから。しかも目の前には想いに想って実った甘い果実が静かに眠っている。今までしっかりと抱き締めていたくせに、カイジの手は暫し空をさ迷った。
最終的に再びアカギの背に恐る恐る手を落ち着け、カイジはアカギを改めて眺める。こんなに近くで寝顔を見たことはなかった。寝ているときの最短距離は背中に寄られたときだったゆえ、寝顔を至近距離で眺められなかった。最初は死んだように眠っていたアカギが、いまはこんなにも無防備だ。伏せられた白銀の睫毛は長く、薄く開いた唇からは小さな寝息が聞こえる。この唇が、と考えを少々発展させると、カイジはごくりと生唾を飲む。その綺麗に整った顔が、気づけば此方を見詰めていた。

「わ、ああああかぎ!?」

カイジは慌てて距離をとる。

「おはようカイジさん、朝から元気だな。朝だからか」
「えっと…わりぃ、穴あいちまうな」
「いや、見てたことじゃない…こっちだ」

アカギはカイジの手をとり、下の方に導いた。
そこはしっかりと硬く、

「え、あっごめん、違っ!!違うんだ、アカギっ」
「取り敢えずどうにかしてきなよ」

顔を真っ赤にしたカイジは慌てて立ち上がり、躓きながらトイレへと
走って行った。

「…違わなくてもいいのにな」

朝だからでないほうが少し嬉しいなんて、口が裂けても言えない。
アカギはもぞもぞと起き上がり、誤魔化すように煙草を一本くわえて火をつけた。目線は紫煙とともに空をさ迷い、最終的には伏せるに至った。

この後カイジがトイレから帰ってきてからは、部屋中にとんでもなくとんでもなく気まずい空気が充満したという。




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