[3. 新しい世界]

白虎曰く、この世界は私が住んでいた世界とは全くの別物らしい。
そして、ここでは、私の世界では起こり得ない筈の出来事が日常的に起こっているという。
もちろん、すぐには理解し難い事もたくさんあったし、信じられない事もあった。

「…おばあちゃんは、元々この世界の人間だった」

そう。
白虎の話によると、おばあちゃんは元々この世界に住んでいたらしい。
そして「忍」として生きていたという。
でも、それ以上の詳しい事は話してはくれなかった。


「…そういえば、さっき教えてもらったやつ…」

考え出す頭を無理やり別の事に向けさせる。
口寄せ、という白虎を呼び出す事が出来る方法を教えてもらった事を思い出す。
この世界では「チャクラ」という物が非常に重要で、それが減ると口寄せも何も出来なくなるという。
白虎は今の自分はチャクラが空っぽの状態らしく、回復するまで一度戻ると言っていた。

でも、戻るって言ってもどこに?
というか、こんな所で一人にしないで欲しい…。

(考えても仕方ない、か…)

木に寄り掛かりながら空を見上げる。
太陽の高さから見てもまだまだ日没には時間がある。
白虎が居ないこの状況ではここから無闇に動かない方が賢明だろう。

柔らかい風、暖かい日差し。
その全てが心地良い。
立て続けに色々な事が起こり頭がいっぱいになっている今の状況を整理しようとゆっくりと瞳を閉じる。

***

あれからどれくらいの時間が経っただろうか。
座りっぱなしも結構辛いものだ。
手足を思いっきり伸ばし、立ち上がろうとした瞬間。

「…え?は?何?何で…!?」

身体が自分の意思とは関係なく、まるで別の意識があるかのように全く動かないくなった。
これが俗に言う金縛りというやつだろうか。
初めての体験に恐怖を覚えるが、初めて体験する事には興味や好奇心が出てくるものだ。
しかし、こんな状態では助けてもらおうにも白虎を口寄せする事も出来ず、ただ座ったまま金縛りが解けるのを待つしかなかった。

「………」

お尻痛い…。
一向に解ける様子のない金縛り。

「あーーー!!!もう!何なの!?」

力の限り叫んでも、結局何も変わらなかった。
脳内では手足を動かしているつもりだが、実際には何も動かないから妙なものだ。

そんな事を考えていた次の瞬間。
そこにはまるで、その場所に最初から居たかのように、目の前には二人の人物が立っていた。

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