小説 | ナノ




「俺が、この俺がいっちゃんすげーんだ!
んで、デクがいっちゃんすごくねえ!」


「かっちゃん…」


「だからみんな俺についてこい!
俺の言うことは聞けよ!俺がいっちゃんすげーんだから!」


幼馴染であった、爆豪勝己と緑谷出久の最初の溝はここであったように思う。
そんな2人と同じく幼馴染でヒーローに憧れた私が、2人と仲良くなるのは必然だったのかもしれない。



「かっちゃんすげー!!」


「ふん、当たり前だろ!」


最初に個性を発現したのは、かっちゃんで爆破だった。発現も早くみんなの注目の的だったように思う。



「美鳥ちゃんも個性でた!」


「すごい!きれ〜!」


「これが個性…」


そのあと発現したのは私で、最初は碧い炎を身に纏っていたから炎系の個性だと判断されたが、そのあと父から遺伝した鳥の要素が出てヒノトリとなった。


「美鳥ちゃん!すごい!すごいよ!かっこよくてきれいだ!」


「へへ、ありがとう、いずくん!」


「ハンッ、きれーなだけじゃヒーローにはなれねーかんな!」


かっちゃんとは対照的にいずくんがべらぼうに褒めてくれるのが嬉しかった。


「出久くん出ないね、個性」


「まだもう少しかかるのかしら…」


結局いずくんは無個性という結果になり、それを知ったかっちゃんは冒頭の如くいずくんを蔑ろにし始めたのだ。


「いずくん…」


「…お母さんに、ごめんねって言われたんだ…ぼく、ヒーローになれるかなぁ…」


「………いずくん!!」


「えっ、はい!?」


「ヒーローは勝つことを、助けることを諦めるの?」


「…え、諦め、ない?」


「じゃあいずくんはどうするの?」


「あ、きらめない…!」


「うんっ、いずくんならなれるよ!ヒーローに!」


こうして、私たち3人がヒーローを目指す物語が始まったのだ。





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