浜茜
「ヒトが一生にする鼓動の回数って決まってるんだって」
「え?」
一緒に帰っている時だった。
たまに茜はよくわからない事を唐突に話しだす。
「何それ?ちゅーかどこ情報?」
「この前読んだ本に書いてあったの」
「ふーん…」
本当なのだろうか。
事の真偽は分からない。
けど、
「そしたら俺早死にするかも」
「え、」
「だって山菜といるといつでも心臓バクバクだもん」
なんちゃってー、と茜の方を振り返ると急にフラッシュがたかれた。
「!?」
「じゃあおんなじだね」
「何が…ちゅーか山菜眩し…」
茜はカメラから目を離すといたずらっ子のように微笑んだ。
「だってあたしも浜野くんと一緒に居るとドキドキする」
「え…」
「おそろい。」
ふふっ、と茜はにっこりて笑ってみせた。
「…ちゅーかそれ反則っしょ…」
堪らなくなって浜野はその場にしゃがみこんだ。
(あなたと居るといつでもドキドキしているの)
back