塔+リカ
「はぁ〜やっぱダーリンカッコええわ〜」
「でもさぁリカ、一之瀬って…」
リカがうっとりした目で一之瀬の事を見ている。
けれどいくら鈍いあたしでも分かる。
一之瀬が見てるのはマネージャーのあの子。
でもあの子が見てるのも…
「ええねん」
リカの明るい声が頭から降ってきた。
見上げるとリカは苦しそうに、けれどとても美しく笑っていた。
「ダーリンが誰を好きだなんてダーリン見てたら一発で分かるちゅーねん。けどな、好きになってしもーたものはどーしよーもないんや」
お子様の塔子にはわからんかもしれへんけどな、
確かにそうかもしれない。
リカだけじゃない。
このキャラバンには片思いの人が沢山いる。
そんな人達見てるとそんなに苦しいなら新しい人を見つければいいのにって思う。
けれどそれが出来ないから恋というのかもしれない。
だったらせめて、
「リカ、」
「んー?」
「あたしはリカの事大好きだよ」
「な、何ゆーてんのアンタ!!なんでそない話になるんやねん!!」
「いや特に深い意味はないんだけどさ。リカはいい女だって事。…あたしが男だったらほっとかないくらい。」
「…ホンマ、アンタってストレートやな…」
「?」
「けど…ありがとうな…っうちも塔子の事大好きやで!!」
いつか彼女の事を一番に、大切に思ってくれる人が現れますように。
「まぁそんな簡単に渡さないけど。」
「?」
初めて出来た親友なんだ。
そんじょそこらの奴になんか簡単に渡せるもんか。
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