3TOP+緑川


「スターライン」収録後

ヒロトがスタジオから出てくると皆が周りに寄ってきた。
「ヒロトすげー良かったぞ!!」
「フッ…お前らしい歌だな」
「皆ありがとう」
皆が褒め称え、ヒロトも笑顔で答えるなか、不機嫌そうにしている二人がいた。
「あ、晴矢、風介、俺の歌どうだった……って、え?」
ヒロトが言い終わらないうちに晴矢がずんずんとヒロトの方へ歩いてきた。
かと思うといきなり頬をドカッと思い切り殴られた。
ヒロトはその反動で尻餅を着いた。
「…ったぁ…いきなり何すんだ!!」
「そうんだよ南雲!!何してんだ!!」
「うっせー!!ざけんなバーカ!!」
「なっ…」
「あ、おい南雲!!」
そう啖呵を切ると晴矢は制止する円堂の声も無視して建物の外へ出ていってしまった。
ヒロトは呆然とし、隣にいた風介は呆れ顔をしていた。
「全く…相変わらず短気な奴だ」
「え、ちょ、風介、俺何かした?」
「だが私も同意見だ」
風介はヒロトの言葉を遮ると言った。
「私達を馬鹿にするのも大概にしろ」
「風…」
風介もヒロトに冷たい目線を浴びせると出ていってしまった。
ヒロトは何が何だか分からず今度は緑川に助けを求めた。
「ね、ねぇ緑川!!あの二人どうしたの!?俺何かした!?」
「うーん、そうだね〜…でもゴメン。俺からも。」
緑川は困った様に笑うとペチ、と軽く頬を叩いた。
「みど…」
「ねぇヒロト。さっきの曲良かったよ。ヒロトらしい曲だったし父さんへの思いも痛いほど伝わってきた。けどさ、…俺達の絆はまだ悲しいものなの?」
「あ…」
「もしヒロトがまだそう思ってるなら…」
緑川はそこで言葉を切ると泣きそうになりながら笑った。

「悲しいなぁ」

「――っ、俺行ってくる!!」
「行ってらっしゃい」
ヒロトは緑川の言わんとする事がわかったのか勢いよく立ち上がると二人の後を追ってった。
「緑川…」
残された緑川に気まずそうに円堂が声をかけた。
「大丈夫だよ」
「え?」
緑川は立ち上がるとにかっと笑った。
「だって俺達は温かい、『家族』っていう絆で結ばれてるんだからさ」
窓の外を見ると後ろから二人に抱きついてじゃれているヒロトの姿が見えた。
「だからきっともう、大丈夫」


(やっと見つけた。俺の居場所)

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