レジスタンスジャパン


「お前らって凄いよなー…」
「「「え?」」」

各校のエース達はレジスタンスジャパンとして招集され、密度の高い練習メニューをこなす毎日を送っている。
そんななか、その日の最後のメニューも終わり、皆でストレッチをしている時ふと南沢は言葉を漏らした。

「凄いって…何がですか?」
「決まってんだろ、化身だよ化身。お前ら全員化身使いだろ」
「あぁ…」

それで南沢の発言に納得がいった。
確かにレジスタンスジャパンは南沢以外は化身使いで構成されている。
しかし月山にも化身使いがいるのに関わらずそれを抑えて南沢は選ばれたのだ。
化身使いでないからといって南沢を見下す者は誰も居なかった。

「でも南沢さんも十分凄いですよ!」
「俺が言ってんのはそーゆー事じゃねーよ。…化身ってのは強くなりたいって気持ちから生まれるもんなんだろ。…俺はお前らがあんな状況下でも強くなりたいと思うお前らが凄いっつってんだ」
「え?」
「何故だ?究極に近付くべく強くなりたいと願うのは必然だろう?」

嘗て究極の存在を目指し、今でも更なる高みを目指している白竜にとって南沢の発言は理解出来なかった。

「…フィフスセクターの管理下であったあの時に強くなっても辛いだけだろ」
「何?」
「強くなればなる程その力を試したくなる。だが管理サッカーのなかでそんな事は不可能だ。だから純粋に凄いと思った。それでも強さを求めるお前らが。…俺は出来なかった。俺は、そんな風に強くいられなかった」
「南沢…」
「天城に聞いていた通りだな」
「は?」

振り替えると薄く笑みを浮かべている真帆路がいた。

「俺やお前がレジスタンスジャパンに選ばれた事を話したら天城がお前の事を色々話してくれたんだ。『管理サッカーの時に心の奥底で一番やるせなさを感じていたのは南沢だ』『南沢はクールに見えるけど意外と負けず嫌いで熱いものを秘めている奴』だってな」
「勝手な事言って…」
「強さにも色々ある。俺だって化身は出せても弱虫だった」
「は…」
「確かにお前は化身は出せない。それでも逆境に弱かった月山を立ち直したのはお前だ。…俺はそこにお前の強さがあると思う」
「…そうかよ」

真帆路の心からの言葉に照れたのか、南沢はくるりと踵を返した。

「南沢?」
「ま、一応誉め言葉として受け取っておくさ。…言っとくけど、」

そこでピタリと足を止めると振り返って全員の顔を見据えた。

「化身が使えないからってお前らに負けないし、負ける気もない。エースストライカーの座だって直ぐに奪ってやるよ」

南沢は瞳をギラりとギラつかせると今度こそグランドから出ていった。

「南沢さんって意外とおっかない奴だな」
「やはり天城の言った通りだ」
「ん?」

真帆路はクッ、クッ、と笑いを耐えていた。

『南沢はプライドが人一倍強いから何がなんでもエースストライカーの座を狙ってくるド!真帆路も気を付けるド!』

(確かに、手強そうだ)

(だが俺だって負けないさ)

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