*福沢さんの話す怖い話。

*×怖い話
*○オチのない話 orz




次は私の番?
よし、じゃあまずは自己紹介から……ふふ、冗談よ。
私の名前もクラスも、ここにいる全員もう知ってるもんね。あはは、もちろん私も知ってるよ。

なんだか初めて会った時のことを思い出して、懐かしくなっちゃって。ごめんごめん。

えっと、これから話すのは公衆電話の話。
その話をする前に聞きたいんだけど、坂上君は、“さとるくん”って知ってる?

え? クラスにそういう名前の人がいる? 親戚がそういう名前?
……違うよ、私の知り合いでも坂上君の知り合いでもないよ。
公衆電話って前置きをおいてのさとるくんなんだから、都市伝説のさとるくんに決まってるじゃない、もー……

都市伝説だから諸説っていうか、細かい違いはあるけど……
さとるくんっていうのは、公衆電話でとある電話番号にかけると繋がる男の子のおばけで。どんな質問にでも答えてくれるんだけど……一番はその人の未来について教えてくれるっていうのが有名かな? 

「何歳の時になんて名前の人と結婚出来る」とか、
「自転車に乗る時には気をつけた方がいい」とか、

そんな予言をくれるのね。どんな些細なことでも答えてくれるさとるくんだけれど、さとるくんが無言だと、その人には未来がないってことで家に着く前に死んでしまったり……、無言じゃなくても、死の予言を聞いて死んじゃうような、そんなパターンも多いみたい。

……あ、知ってる?
だよね、これ有名だもん。
いくら坂上君が怖い話嫌いっていってもさ、このくらいは知ってるよね、新聞部だもんね。

え、なに? 名前は知らなかったけど、そういう話は聞いたことがある?
……うん、都市伝説って、そういうものだよね。
一般的にはさとるくんって呼ばれてるけど、隣の町ではほら、……しゅーいちくんかも知れないし。

あはは、そんな顔しなくたっていいじゃない。
そんなに怒らないでよ。

別に坂上君のことをお化けにしたいわけじゃないんだからさ。
私が言いたいのは、うわさ話の幽霊に、「名前」なんて関係ないってこと。

さとるくんって名前である必要はないんだよ。
誰でもいいの。太郎君でも一郎君でも、ジョンでもジュゼッペでも、A君でもB君でもね。

実際ね、私がさとるくんって名前を知ったのは、つい最近なんだ。
なんか雑誌で都市伝説特集みたいなのやってて。それに書いてたんだよね。
で、それを読んで、名前は知らないけど、この話、身近にあったなーって。坂上くんとおんなじだよ。

だって、私が小学生の頃、電話をかけるといえば花子さんだったんだもん。

そ、花子さん。
たぶんおかっぱで白いブラウスに赤いサスペンダーのスカートをはいた、そんな花子さん。
少なくとも、私はそう想像してたなー

……、坂上君、いま笑った?

え? 違うよ、トイレの話じゃないってば。細田さんじゃあるまいし。
公衆電話の話だって最初から言ってるじゃない。

だ、だからトイレの話じゃないですってばっ、やだもう、細田さんったら身乗り出してこないで下さいよぉ。仮にトイレの怖い話を知ってたとしても、トイレの怖い話は細田さんの専売特許なんですから。勝手に取っちゃったりしませんって。きゃはは。……だからぁ、知らないって言ってるじゃないですかっ! 今は私の話なんですから、大人しく座ってて下さいってば。……坂上君、止めに入るの遅い。聞き役失格だよ、もう……っ

確かに、花子さんっていったらトイレの花子さんだけどね。
でも、小学校の時みんながかけていた番号……あれは花子さんの番号なんだよ。
前置きが長くなっちゃったけど、今日はそのお話をするね。






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