“昼休みに、屋上集合。初音には内緒でね”
「何だこれ…」
朝練終わって教室に帰り携帯を開くと新着メール一件。何だかヤな予感がするのは何故だろう。携帯開きたくない。
開かない訳にはいかないので思い切って開いてみると幸村君からで、内容は冒頭の通り。初音に内緒でって言う事は、初音関係で間違いなさそうだな。
仁王も携帯見てるし、多分レギュラー全員に送ったんだろ。
「ブンちゃん、これどう思う?」
「どうもなにも、初音が嫌がらせ受けてんの知ってんだろ。多分赤也かなんかが言ったんだと思うぜ。初音は自分から言わなそうだし。俺達幸村君に何にも言ってないし。」
仁王も全く同じ事を考えていたらしく、特に何も言わず席についた。
どういう経路で初音の嫌がらせについて知ったにせよ、俺達がさんざん怒られそうなのは言わずもがな。
初音の事助けてやりてぇ。これ以上傷付けたくねぇ。
やっぱり幸村君の力借りないと駄目なのかな、俺達。
さっぱりわかんない先公の授業を聞かず、俺は居眠りの体制に入った。何かお菓子食べる気分にもなんねえし、視界の隅で真面目に授業受ける初音が何か異様にちっさく見えた。
いつのまにか俺は寝こけていたらしい。
誰かにゆすられてまだ寝たばっかりだろうが、と渋々目を開けると俺をゆすったのはに王だったようだ。
おいおい、お前は馬鹿か。まだ授業中だろうが。
そんな批判のまなざしを送ると、そっくりそのままため息つきで視線を返された。
「ブンちゃん、もう昼じゃ。」
「は?馬鹿じゃねぇの。流石の俺もそこまで寝惚けてねぇよぃ」
「時計見んしゃい」
随分食い下がるな、と時計に目をやる。短針はすでに12時を過ぎていた。
一瞬目を疑った。携帯で改めて確認すると、12時13分。
「だから言ったじゃろ。寝惚けてるのは正真正銘お前さんじゃ。」
「悪ィ…」
完全に俺は恥をかいた。てか寝すぎだろ。一時間目からぶっ通しで寝るってアホか。
何で誰も起こしてくれなかったんだよー。
昼休みを数十分過ぎた所で、俺はやっと屋上についた。
「遅かったね丸井。ご苦労様仁王。」
「プリ」
「授業中に居眠りするとはどういう事だ丸井!!!」
「今はお説教してる場合じゃないだろ、真田」
「うむ…」
「おい仁王、お前一回俺を置いてここに来たのか。」
「あぁ。」
「何で起こさねんだよ!!!起こせよ!!」
「ブンちゃんの身を案じてじゃよ」
「最終的に心ボロボロだっつの!!」
「いつまで喋ってるの?俺が話せないんだけど。邪魔したいの?ねぇ邪魔したいの?」
「すいません…」
恐ろしい笑顔で俺に近づいてくる幸村君。超怖い。
皆で輪になって、話し合いが幸村君の一言で始まる。
「さて、皆の知ってることすべて洗いざらい吐け」
「それが人に物を頼む態度かよぃ」
「丸い?」
「うん、ごめん」
「赤也から聞いたんだけど、初音がファンクラブから嫌がらせ受けてるって本当?」
「あぁ。福永は俺たちを心配させないためか言わんが、相当酷いようだ。」
「そうか…」
「あいつら初音呼び出すとき、俺達と上手く時間ずらしてやってるから助けらんねぇんだよ」
「それに、初音がいつ呼び出されるのかも言わんしな。」
「俺が学校にいられるのは今の所一週間。その間に初音への嫌がらせをすべてなくそう。」
強くそう言った幸村君に、反対する奴なんているわけもなく俺たちは作戦会議を始めた。
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