「いってぇ…」


1週間ずっと殴られっぱなしだ。テニスだってロクに出来てねぇ。
あちこちがズキズキと痛んで、体も頭も麻痺しそうだ。


「何でこんな事になってんだろ…俺は何もしてないって」



あんな仲良かった丸井先輩も仁王先輩も信じてくれなかった
幸村部長も俺の話を聞いてくれなかった

あいつに皆騙された。クラスの奴等も先輩達も。
俺の声を聞いてくれる奴なんかいない…

ここは体育館裏。
俺は今倉庫のドアに寄りかかっている。

さっき丸井先輩に蹴られたところが痛くて立ち上がれない



「誰か来てくんねぇかなぁ…なんてな、来るわけねぇよな。」

『切原?』

「え…池澤?」

『何であんた、こんなとこにいんの?』



なんだコイツ。何で俺に普通に声かけんだ?
つか、なんでここに…



『怪我してるね、保健室行こう。立てる?』

「うるせぇ、ほっとけよ。お節介女…あ。」


やっちまった。ホントは声掛けてくれて嬉しいのに、何やってんだよ、俺
せっかく心配してくれてんのに。
あぁ、こいつも離れてくんだろうな





『馬鹿が…。
女に助けられるのがそんなにイヤ?そんなくだらないプライド守ってどうすんの?
後、私はあんたの味方だからそうそう簡単には離れないよ。』

「は…?」




何言ってんだ…?
味方…?俺の?

俺を信じてくれんのか?

いやいやまずは何でコイツ俺の考えてることが…。
まさか幸村部長と同じ属性…?





『立てる?』

「お、おう…」





立ち上がった俺に肩を貸してくれた池澤と保健室に向かった。
さっきまで雲でいっぱいだった空に太陽が見えた。









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期待

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