今俺は危機的状況にある。

『あ、ごめんね有人』

「あ、あぁ…かまわない」

苗字が教科書を忘れ、2人で教科書を見ている

それはいいんだ。

問題なのは苗字との距離が異様に近いことだ!!
机をつけるため、仕方がないことなのだが…


苗字のシャンプーの匂いが鼻をくすぐるのが、なんとも心地良い…

すると、苗字が俺の肩を軽く叩く。
どうやらノートに何か書いてあるようだ。


《有人は私の事、嫌い?》

そう書いてあった。

ない!絶対にそれはない!!俺は苗字が好きだ!!大好きだ!!

今だってお前が近くにいるから動悸がすごいんだ。


《嫌いじゃない》


なんだ!?嫌いじゃないって!!
俺は好きなんだ!!
あぁぁあぁ!!好きの二文字が何故言えない!!!!



《無理、しないで。他に好きな子がいるんだっら遠慮しないで言って?》

と、ノートの端に小さく書かれた。

考えてみると、俺は今まで苗字に気持ちを伝えた事がない。

告白も苗字からだった。

俺はずっと苗字に好意を寄せていた。
苗字も俺の事を好きでいてくれていた。

それを知った時の嬉しさは言葉にできない。

俺が言わない事で、行動しない事で、苗字を傷付けてしまった。


俺はノートの端に


《俺はお前の事が好きだ
だが、気持ちを表すのがあまり得意じゃない。
その結果お前を傷付けてしまったが…》


そう書いたあと、苗字のノートに大きく《愛している》と書き、今はこれで精一杯だ、と苗字に言った。


恥ずかしい…
その気持ちを悟られないように黒板の字を写し始める
そして急に頬に柔らかい物が触れた。
それが苗字からのキスだと気付いた瞬間、
苗字が可愛すぎて、愛しすぎて、赤くなった顔を隠すために机に伏せた。




*END*


オマケ→

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