眠りにつく




『まったくもぅ…………』

「すまない…」



ここは部室。
俺はそこにあるソファーで寝ている。
頭の後ろには水枕を当て、おでこには濡れたタオルが当てられている。

俺が何故このような状況かと言うと、先ほど部活中にグラウンドで倒れたからだ。
理由は熱中症。

今、恋人であり、かつマネージャーでもある名前に看病されている。



『あんだけ私に体を大切にしろとか、無理はするなとか言っておきながら熱中症って…
説得力の欠片もないですよ?』

「……すまん…」


確かに、名前にはそう言ってきた。

自分の情けない姿は絶対に人に見せないつもりでいたのに、よりにもよって彼女の前で…

情けないな

『鬼道さん、取り敢えずこれ飲んでくさい』

そう言って名前が渡してきたのはスポーツドリンク(名前特製のやつだ)だった

『ちょっと濃い目に作りました。あ、飲みにくければストローもありますけど…』

「大、丈夫だ…」

なんとか体を起こし、冷たいドリンクに口をつける。火照った体にスポーツドリンクが染み渡る感覚が気持ち良い。

飲み終えたボトルを名前に渡し、俺はもう一度横になった。


『鬼道さん…あんまり無茶しないでください。心配するじゃないですか
私も、皆も。焦るのはわかりますよ?
大会まで時間がないし、鬼道さんは勉強も生徒会もキチンとやらなきゃならないし…

でも、少し休憩しましょう?そんな時計の秒針みたいに始終動いてたら体に悪いです』

「ああ、そうだな…」


休憩か…
それなら………

「名前…」

『はい、何ですか?』

「膝枕……してくれないか?」


今日はトコトン名前に甘えるとしよう。

『ひ、膝枕…ですか?』

「ダメか?」

『いや、そういう訳じゃ…』


俺は体を起こした。
そしたら、顔を真っ赤にした名前がソファーに座り、スカートを整える。

『どうぞ』

名前の太ももに頭を乗せた。
膝枕って、考えてみれば結構恥ずかしいな。
そんな恥ずかしい事を言ったあの時の俺はかなり熱中症で頭をやられていたらしいな。

目を開けて名前を見ると、微笑んでくれた。


「名前、愛してる」
『私もです』




俺はそのまま目を閉じ、眠った。
とても心地の良い時間だった。





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李桜様リクエストの鬼道さんでした。

リクエスト下さった李桜様、ありがとうございました!!

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