だって今が一番幸せ


今日はお洒落をした。
友達とショッピングなんかでも、家族でお出かけとかでもない。

あまり履き慣れていない短いふわっとしたワンピースに、これまたふわっと巻いた髪。
この格好は秋ちゃん達がやってくれた。

センスいいなぁ。


話が逸れてしまったけれど、私は今日恋人であるヒロト君と初めてのデートなのだ。
行き先は近くの植物公園。

何をしたらいいのかわからずお弁当を作ってきてしまった…
いいのかな、迷惑じゃないかな…



「名前、ごめん遅くなって…」

『ううん大丈夫。そんなに待ってないよ』

「そう?」

『うん。それよりその大荷物は何?』

「あ、これ?内緒。」


ヒロト君の持っていた鞄は何故かパンパンだった。
何が入ってるんだろう。


「行こっか。」

『うん……え?』

「手。繋いじゃだめ?」





ヒロト君は手を差し出してきた。
どうやら手を繋ごうという意味らしい。

なんだか嬉しくて私はヒロトの手を握って歩き出した。





























「そろそろお昼にしようか」


ヒロト君がそう言った。
時計を確認するともうお昼時。

あ、お弁当渡さないと…!!


『あ、のね、お弁当作ってきたんだけど!!』

「お弁当?」

『うん』


ヒロト君は目を丸くしている。
あ、嫌だったのかな?やっぱりでしゃばり過ぎたのかな!!


「アハハ!!俺も作ってきちゃったんだ。」

『え、そうなの…?』


ヒロト君は鞄の中からお弁当が包まれているであろう風呂敷を出した。


『あ、じゃあ…自分で食べるという形で…』

「何言ってるの?交換しようよ。俺名前のお弁当食べたい。」


そう言ってヒロトは私のお弁当をひったくり、自分の作ったお弁当を私に押し付けた。



「代わりに俺のは名前が食べてね」

『いいの!?』

「もちろん。名前のために作ってきたんだから。」

『わーい!!』


ヒロト君の作ってくれたお弁当は、とても彩がよかった。


『お、おいしい……!!!ヒロト君料理上手だね!!すごい美味しいよ!!』

「本当?ありがとう。名前のもすごい美味しい。全部手作り?」

『うん。よかった…喜んでもらえたみたいで…』

「これから先もこんなに美味しいものが食べられるんだね、俺は」

『え?』

「俺は名前とこれからもずっと一緒にいて、あわよくば結婚もって考えてるんだけど?」

『結婚!!?』


何故そんな未来の話に!?


「俺とは結婚したくない?」

『そんな、滅相もない!!
むしろ私の方が毎日ヒロト君の美味しいものが食べられて幸せです!!』

「俺の価値は食べ物かぁ…」

『違うよヒロト君!!』

「ホントかなぁ…」

『ホントまじで嘘つかない!!』

「じゃ、証明してもらおうかな♪」

『証明?』

「俺にあーんして?」

『あーん?』


あーん、と言うのはあのカップルがやるやつだよね。
いやいや、ここ、公園。
人いっぱいいるんですけど。



「あーんが嫌なら口移しでもいいよ」

『やります』



仕方なくヒロト君の持っている私が作ったお弁当のおかずの中からタコさんウィンナーを箸でつかみ、ヒロト君の口元に持っていく。

「あーんって言って欲しいなぁ」

『え、いや「いやなら口移し」…あーん……』


ヒロト君がタコさんウィンナーを食べる。
なんだか幸せそうだな。


『美味しい?』

「うん美味しい。」


ヒロト君が私の手を急に握った。吃驚して彼の顔を見る。


「名前、来年もここにこようね。俺達の初めてのデートの場所だ。
再来年もまたその次の年も二人でお弁当持ってこようね。」

『………うん!!』





来年もまた同じ場所で、今日の幸せを二人で思いだそう。






**************

彩崎様からリクエストを頂きました、ヒロトです。
遅くなってしまって申し訳ありません(汗)

では、リクエスト下さった彩崎様、ありがとうございました!!

[ 23/27 ]

[] []