インターフォンが家に鳴り響いた。
俺はすぐに玄関に向かう
「可愛いね。馬子にも衣装って感じで」
『それ褒めてないよね』
インターフォンを鳴らしたのは隣に住む俺の幼馴染。
彼女は今浴衣を着て俺の前にいる。
いつもおろされている髪は上でお団子に。
歩きにくそうに草履を履いて。
可愛い浴衣を着た名前。
なんて可愛いんだろう。
名前のお母さんが、俺の母さんと話していた。
二人にじゃあ行って来るね、と伝えて俺は歩き出した。
後ろから名前が着いてくる。
「歩きにくいの?」
『え、あぁ草履?あんまり履かないからね
虎次郎は浴衣着ないの?』
「着てほしかった?」
『ちょっと見たかった』
そう言って名前は笑った。
そんな名前の横を歩く。
あ、言っておくけど俺はあくまで幼馴染。
名前とは付き合っていない。
付き合いたいけど、もし気持ちを伝えて名前との関係が崩れてしまったらと思うと言えない。
ただ一言。可愛いとも…
『人多いね』
「迷子になるなよ?」
『ならないよ!!』
ムキになって言うそんなところが好きだ。
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