だからお前がマネなんやろ?



“名前ー、財前がー”


最近こんな風に呼ばれる事が多くなった。
私がテニス部のマネージャーになってからと言うもの、クールと騒がれている彼。財前光のお世話役を押し付けられた。

なんと不本意な事だろう。


「財前ー何処やー」

「…ここや」

「うぉう、何やびっくりしたぁ…。どないしたんや。また好きな子でも出来たんか?」

「違う。俺は気付いたんだ。」

「何で標準語やねん…。で、何に気付いたん?」


財前がクール?

んなアホな。彼は謙也先輩と張り合うほどのヘタレや。
取りあえず体育座りをやめて頂きたい所存だ。


「俺好きや!!!!」

「はぁ?何が。」

「俺は今までいろんな女の子に交際を申し込んできた。でもだめやねん。少女マンガみたいなあのドキドキが全くないんや。」



そう真顔で言い切った目の前の男は本当にアホだ。
現実と漫画の世界の区別がついていないようだ。

ため息をついて光に視線を合わせると、至極まじめな顔をしている。


「あのな、光。ここは三次元、漫画は二次元。オッケー?」

「ん?俺は名前見てるとドキドキするんや」

「せやけど、今まで付き合ってきた女の子達はどうすんねん」

「別に好きやないで」

「はぁ?」

「俺が好きなんはずっと名前や」





















だからお前がマネなんやろ?















《んな話聞いてへんで!!?》
《言ってへんもん》
《貴様ーーー!!!》
《好きや》
《うわー白石!!財前がー!!!!》



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リクエスト下さった美樹様、ありがとうございました!

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