俺を失う最後の時まで

跡部の家に着くまで、ジローと岳人は騒ぎ、それにチョタが巻き込まれ、そんな3人を日吉が冷たい目で見る。

そして宍戸と忍足は呆れた顔で4人を見る。私もだけど



「おっ、見えてきたぜ!!」

「マジマジ!?」

「相変わらず大きいですね…」

『ホントにね』


相も変わらず立派な建物だよ。
私達何回も来たことあるけど今だに屋敷内は迷路過ぎてわかんない。


「あれ…?樺地じゃん。何してんだよ」

「ウス…」


私達が屋敷の門まで来ると樺地がいた。
おかしいなぁ。樺地は先に屋敷に行ったから跡部の部屋にいるはずなのに…

もしかしてお見舞い終わったのかな?


『どうしたの樺地』

「屋敷に…人が…いません」

「どういう事やねん」


屋敷に人がいない…?
そんなこと今まで一度もなかったよね


「インターフォン鳴らしても」

「誰もでねぇのか?」

「はい…」


日吉が試しに鳴らす。
けれど一向に人が出てくる気配はない


「何かあったんじゃねぇか…?」

「何かって…、不吉な事言わないで下さいよ宍戸さん」

「クソクソ!!どうすんだよ!!」


「ただの旅行とかならいいですけど
強盗とかだったら俺達じゃ手に負えませんよ…」

「この家なら全員監禁って事も…」

「可能…だな」

『とりあえず、様子を見て警察を呼ぶかどうか見当しよう』

「でもどないするん?中に入れへんわ」

「裏口が、あります…」


こっちです、と言って樺地が案内した先には表の門とは比べものにならないほど小さな扉があった。


「よく知ってんな、こんな所」

「非常時には使え、と」

「跡部らしいな」


扉を開け中に入るとそこはジャングルのように草木が生い茂っていた。
跡部の部屋から見えていた森みたいなのはこれだったのか…

樺地を先頭に私達は歩く
しばらく森の中を歩くと裏口の扉と同じくらいの大きさのドアがあった。


そのドアは厨房に繋がっているらしい

中に入ると、美味しそうな匂いが漂っていたけれど、誰もいなかった。


「誰もいねぇな」

『何か、気味悪いね』


屋敷の中は異様な静けさに包まれていた。
人の気配が全くない。
きらびやかなシャンデリアも絵画ま今は気味の悪さを増幅させる材料となっている。

裏口から厨房に入り、食堂を通って大広間まで来た。



そこで、信じられないものを私達は目にした。


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