不憫な後輩
「なー浜田ぁ…俺どうしたらいいんだろうな…」
「…名前の事か?」
「おう…。なんで俺はあいつなんかに惚れてんだよ…」
「泉のことが好きだって素振りは?」
「皆無」
「さいで…」
最近俺は泉から恋愛相談をされる。
その相手は泉の幼馴染、そして俺達のグループの一員である苗字名前。
コイツがまた吃驚するぐらい鈍感なわけ。
そんな泉に頭を悩ませる泉に最近俺は同情を覚えた。
いや、ホントに。
まずあの宿題写し大会な。毎回のように写す田島と三橋。
三橋はまぁ例外だけど、田島がやっかいなんだよ。
“名前愛してっぞ!!”と、合言葉のように名前に言う。泉が何十年も言えなかった言葉をいとも簡単に。
そして、言われた名前はスルー。
それはもう華麗に。
「なぁ、告ったら引かれっかな…」
「何度も言うけど、ハッキリ言わねぇと名前には伝わんないと思うぜ?
あの鈍感娘にはそりゃもうハッキリと言わないとな。」
「だよなぁ…でも嫌われてもっと距離開いたら俺死ぬ。」
「お前名前に気持ち悪い位ベタ惚れだな。」
「あったりまえだろ。何年間あいつの傍にいると思ってんだよ。16年だぞ!!?
あぁクソ、どうしようもないんだよ…。
好きで好きで好きで仕方ないのに、言えねぇんだよ…。」
泉が頭を抱えて机に伏せる。
あぁ、なんて不憫なんだろう。
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