恋愛対象外



『おはよう孝介』

「はよ」


いつもと変わらない俺たちの朝の挨拶。
幼馴染で家は隣同士。しかも同じ高校と来た。

俺からしちゃ願ったり叶ったりな訳で、文句はないんだけど。
毎日一緒に学校行けるし?休みの日は部屋から顔出せば会えるし?


ただ、近い。近すぎる。
俺と名前の距離はあまりにも近すぎる。
そのせいで、俺はいつだって名前の恋愛対象に入らない。


何度好きだと伝えようとしたか。
だけど、もし気持ちが伝わらなくて名前と今みたいな関係じゃなくなったらと思うと怖くて言えない。



『宿題やった?』

「俺を三橋や田島と一緒にすんな」

『はいはい、ごめんなさいね〜』


俺たち9組(野球部+α)の宿題は、大体名前がちゃんとやってくるかにかかってる。

特に三橋と田島。

こいつらは、部活でヘロヘロになって帰るから、宿題なんてやる暇もなく、いつも名前に頭を下げて見せてもらっている。
浜田は、時々忘れるくらい。

俺?俺はちゃんとやってるぜ。


「おはよう名前ちゃん、泉君」

『おはよう千代ちゃん』

「はよ、篠岡」


マネージャーの篠岡は名前と仲が良い。
前に名前の事を相談したことがあるけど名前は俺を幼馴染としか見ていないみたいだと篠岡から聞いて一晩寝込んだ。



篠岡を見ると、お疲れ様って顔で俺を見て困ったように笑った。

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