朝から晩まで抱き通した 10日目 


おはよう…ございます…

あぁ、おはよう

……まぶしい…

仕方ねぇな……来い

抱き締めて…くれるんですか

ちょっと黙ってろ…

はい……


カーテンの隙間から射し込む光。
眩しくて、俺の胸に顔を埋めるエレン。

ドクン…
大きく波打った鼓動に伴って再び溢れ出す性的欲求。
真っ白なシーツが二人分の重力でしわを作っている。
そして俺の腕の中には…


なぁ…エレン

ん…はい……

エレン…抱きたい

だき………

抱かれろよ…エレン

………リヴァイさん……

好きだ……

リヴァイさん……来て……


ドクン、ドクン、ドクン…………

ドロドロと流れる欲はポタポタとエレンに垂れていく。
ウイルスが移されたかのように息が上がり始めたエレンは 熱い視線でリヴァイを見つめた。

チュ…と純粋なリップ音が部屋に響く。
いつの間にか部屋はくち、くちゅと卑猥な音と漏れ出す声、吐息で溢れる。
指先でするするとボディラインをなぞれば、ビクビクと身体が震えた。


感じてんのか…

リヴァ…イ…さ……もう…いいからっ…挿れて……


ブチン、と何かが引きちぎれる音。
それが理性であったことなんて、まだ知るはずもなく。


********************


「、…さん、りば、さ…、、リヴァさん!」

「ん…………えれん」

くたりとした身体を持ち上げると、仁王立ちで時計を顔の前に突き出したエレンが立っていた。

「なんだ…よ」

「なんだよじゃありませんよ!今何時だと思ってるんですか?!」

より近くに突き出された時計を読む。
時計の針は、ぴったりと真上で重なっていた。
ん?今は夜中か?いや、違う。外が明るい…
とすると…昼か。それにしてもコイツは何をプリプリ怒ってやがる…

「12時ですよ!じゅうにじ!!!」

「だから何だってんだ…今日は日曜日だろ」

「違いますよ!…そうですけど…せっかくの休日を寝て過ごすなんて嫌です!おれどっか行きたい!!」

子供みたいに駄々をこねるエレンの手には、温泉ガイドの雑誌。
温泉に行きたかったとでもいうのか。
予約も無しに。

「…バカか」

「ばっ、バカって!!リヴァイさん、とにかく起きて下さい!もう我慢出来ません!!!」

「そんなことで怒ってんのかてめぇは…」

「そ、それもそうですけど……昨日から今日までずっと…その………」

「あ?満足させたつもりだったが…まだ足りねぇってのか?仕方ねぇ淫乱だな…」

「ち、ちがっ!そんなじゃなくて、!」

再び脱がされ始め、ぎゃあああ、と悲鳴を上げて逃げようとする。
力の差が大き過ぎてやはりリヴァイには勝てず、おとなしく腰を浮かせた。

「まだ残ってるからそのままでもいけるな…っ」

「ふ、ふああああぁっ?!!り、リヴァイさ、!!!」

「は…全部飲み込みやがって…エロい穴だな」

「ちがうっ、ちが…っ!!」

ぐいぐいと結合部を密着させてはギリギリまで引き抜き、そしてまた奥へ突き上げる。

「だ、も、イっ、…イっちゃああっ…!!!」

「バカっそんな締めんなっ、…!」

きゅうぅ、とリヴァイを締め付け、やっとと言うように吐精した。

これが…2度。
ぐる、と後ろを向かされて…2度。

窓の外は夕暮れがかかり始めていた。


********************


あれ…?

あ、れ??!


はっと気づいたときには遅かった。
あのまま夕方まで抱かれて、眠りに落ちて。
そして今。…外は暗い。何時だ…?

白いシーツの上にちょこんと乗せられた時計に目をやる。
時計の針は、ぴったりと真下で重なっている。
ちょうど6時半。

リヴァイさんを起こそうと身を持ち上げたときだった。
ぎゅるるるる……
急な目眩に襲われ、再びベッドに倒れこむ。
何でかと考えれば、結論はすぐに出た。

空腹だ。

結局おれもリヴァイさんも、朝から何も食べていない。
そして今は6時半。目眩がするのも無理はないとキッチンに向かった。

「はぁ…」

ハンジさんに頂いたリンゴを包丁でするりと剥く。
甘くてしょっぱい、とっても美味しいそのリンゴはおれとリヴァイさんの大好物だ。
ぎゅるる、とまた腹は小さく訴えている。
2つだけウサギの形に剥いて、後で食べることにした。

「いただきま…ぁ、リヴァイさん、良かったらどうぞ」

だるそうな顔で起きてきたリヴァイさんは、リンゴを見るやいなやすぐに飛びついた。

「…うまい」

「リヴァイさん見て下さい、ほら、ウサギさんです!おれとリヴァイさんとで、1つずつですよ?」

ぱくぱくとリンゴを食べながら、皿の真ん中に盛り付けたウサギを自慢してみる。
上手じゃねぇか、と素直に褒めてくれるリヴァイさんにとても嬉しくなった。

「何ていうか…今日は人間らしい生活してませんね…」

「発情期の猫の生活だな」

「なっ、そんなっ!」

否定しようとしてみるが、言い返せない現実。
実際、昨晩から今の今までずっと行為に及んでいた訳だから。
いつの間にかリンゴはなくなり、リンゴのウサギが2匹、皿の真ん中で寄り添っていた。

「…おれたちみたいですね」

「…?このウサギがか?」

「はい…こんなにも広い世界で、おれはずっと、リヴァイさんの隣にいる。このウサギさん、みたいに…。それって、本当に奇跡みたいな運命だなって…なんか、らしくないですね」

皿の中央でぴったりとくっついているウサギ型のリンゴを眺め、愛おしそうに呟いた。

「あぁ、らしくねぇな…。だがまぁ、悪くない」

「え?」

「奇跡みてぇな運命。すべての運命に必然なんてねぇ。俺たちが出逢えたのは…まぁ、そうゆうことだ」

ウサギのリンゴを1つ取り、しゃり、と一口かじった。
おれもそれを真似して、しゃり、とかじった。
ちょっとだけしょっぱい。
おれとリヴァイさんが、喧嘩するときの味。
後味は、とっても甘い。
おれとリヴァイさんで、愛を確かめ合うときの味。

おれにはそのリンゴが、リヴァイさんとの関係を表していたように思えた。
だから、今日どこにも行けなくて寂しいなんて思わなくなった。
ずっと、もっと一緒にいたいって思った。


リヴァイさん、分かったんです
おれ、自分よりリヴァイさんが好きなんです
あり得ないって言うかもしれませんけど、本当なんです

エレンよ…
お前は相変わらず何も分かってねぇな
それは、俺も同じだ
誰よりも、自分よりも…お前を愛している


残りのリンゴは、互いに食べさせ合った。
バカみたいに愛を囁きながら、頬を染めながら、頬張った。

夜の口づけは、今までで一番甘い、リンゴの味だった。



fin.




十日間連続××× 終




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