∴ 使徒の日記念文



※Po.p'n mu.sic16『Sorrows』を元に書いてみた。
※明るくない。
読みつつ色々考えて下されば嬉しいです。




黄昏が夜に変わっていく。
太陽は溶け落ち、海の底で魚になった。

水時計みたいな光と闇。
だけど地球をひっくり返したところで時は戻らない。

ため息をついた。
悲しみしかないこの景色。

だれもみつけてくれないね

唐突に、音の無い台詞が耳の奥で鳴った。同時に「思い出した」濃い橙の夕陽。

すると「僕」の口は、待っていればそのうち誰か来るよと。
呑気な返事をした気がする。

友達とかくれんぼをしてたのに、「僕」は精霊たちとのおしゃべりに夢中で。
誰も探しに来ないのを気にも留めなかった。しかもそれが意地悪されたんだって、「僕」・・・否、君は気付かなかった。
そして翌日元気に学校へ行って、意地悪した子たちも毒気を抜かれて。事態はそのまま迷宮入り。

僕の記憶じゃない。ただの幻。
あの頃君が住んでいたのは日が沈まない所だから、君は夕焼けなんて見たことなかったんじゃないかな。



酷い気分なんだ。ずっとずっと。
それは君が存在してるからだと思ってた。

僕は最善の策を探して実行した。ただ君を排除するために。
そしてコトは計算通りに運んで、僕の目標は達成された。

今、君はいない。

でもおかしいんだ。気分が晴れない。それどころかもっと悪くなった気がする。
胸にぽっかりと穴が空いたみたい。

きっとこういうことだ。
君は夢だった。そう思えばこの奇妙な感覚も気のせいと片づけられる。
君なんて最初からいなかった。

じゃあなんで僕が君を知ってるかって、知らないよ。
元々いなかったんだから。そう。君なんていなかった。

生まれ出た事実すら認めてやるものか。
君なんていない。


『また会えるさ』


もう、いない。