2011/05/26 21:57 仙くく♀、鉢庄♀ 五年が兄弟。上から、竹谷、不破♀、鉢屋、久々知♀、尾浜。鉢屋と久々知は同じ高校。尾浜は中学。竹谷と不破は大学生。 〇〇〇 ――私はお前を逃がさないよ。絶対に。 最期の時に聞いたあの声が、今でも耳に残っている。 -・-・-・- 「起立、礼」 「「ありがとうございました」」 授業終了のチャイムが鳴る。途端にざわざわと五月蝿くなる教室。中にはチャイムと同時に廊下へと飛び出した者もいるらしく、バタバタと忙しなく駆けていく足音が聞こえた。 時間は昼休み。私はサブバッグに入れていた弁当袋を取り出すと、少し離れた位置にある友人たちの席へと急ぐ。廊下側にあるその席は、少し寒いことを除けば結構便利な席だったりする。つらつらとくだらない事を考えながら、私はいつものように友人の前の席を移動させて座る。 「あ。兵加さん、さっきの問2の」 「わ!馬鹿!頭痛くなるから後にしろってば!」 「五月蝿いです。作葉さん」 「ねー、兵加。作葉も庄子もほっといてさ、先に食べようよ。私お腹減った」 「…あー、うん」 騒がしい三人に生返事を返して私は廊下を覗き込む。相変わらず五月蝿い廊下。そのことに少し顔をしかめると、頭を引っ込めた。 「兵加?…ああ、いつものアレか」 「え。今日も来るんですか?」 「うん」 「ま、今来るでしょ。…ほら、来た」 「……兵加さん、そろそろ自分で買ったらどうですか」 「考えとく」 ひとりさっさと弁当をつつき始めていた喜世の言葉に再度廊下を覗けば、それは調度到着した所のようだった。視界の端で庄子が嫌な顔をした。何でそんなに嫌うかな。昔はそんなんじゃ無かった気がするんだけど。…自分で買うようにしようかな。……反対されるのが目に見えてるか。 「ほい。今日の分」 「ん。ありがと三郎」 「お兄ちゃん、だろー」 うるさい人は無視をして手渡された紙パックの豆乳にストローを差し口をつける。うん。今日は豆乳いちごか。美味しい。目の前では兄が庄子に絡み始めた。庄子は嫌そうに顔をしかめ、喜世はマイペースに弁当をつつき、作葉は困ったようにそれを眺めている。 「ま、いーか。庄ちゃん会いたかったー」 「私は会いたく無いんですが。そして語尾を延ばして話さないでください。気持ち悪い」 「うわ。辛辣。ひっどいなー、庄ちゃん」 「庄ちゃんって呼ばないでください。むかつくので」 「…ねぇ。俺って庄ちゃんになんかしたっけ?なんでこんなに嫌われてんの。凹むよ。さすがの俺でも凹むよ?」 「兵加さん、作葉さん。食べましょうか。喜世さんも食べてますし」 「…おーい。無視ですか」 「……約束を破った人なんか知りません」 「だからその約束って何なんだっての」 最早いつものやり取りとなったそれを見ながら豆乳いちごから口を離して弁当を広げる。作葉も慣れたのか、既に弁当を広げ始めていた。喜世は半分程を食べ終ったようだった。 庄子は俯いて兄を視界に入れないようにしていた。兄はひとつため息をつくと、その頭を撫でる。頭に兄のてが触れた途端びくりと肩を震わせる庄子。これも、いつものやり取り。…いい加減、諦めれば良いのに。誰が、とは言わないけど。 「…じゃあ、俺行くから。またな、庄ちゃん」 「…もう来ないでくださいよ」 「それは出来ない相談だなー」 |