りんさくフェスタ | ナノ

ガラスの靴は落として割れた


昔々とあるところに、桜という少女がいました。桜は母親を亡くしていましたが、母の最期の言葉である「勇気と優しさ」を忘れずに暮らしていました。ある日父が再婚をすると言ったので、桜は継母と意地悪な二人の姉と一緒に暮らすことになりました。新しい家族を迎えてしばらくすると、父は流行病で亡くなってしまいました。守ってくれる父がいなくなり、継母と姉の意地悪はより激しくなりました。しかし桜は「勇気と優しさ」を忘れずに過ごしていました。時に悲しくなることはありましたが桜にはネズミの友達がいて、時に自分を励ましていました。
ある日、桜が買い物をしに出かけると、翼という少年に出会いました。翼は、桜のことを一目で好きになってしまいました。翼は桜に名前を尋ねるものの、桜は教えようとしませんでした。桜はもう使用人同然の生活をしていたからです。継母たちに灰かぶりと呼ばれ、そんなことを身なりの整った翼に言えるわけがありませんでした。翼はそんな桜に寂しさを抱きながらも、別れた桜にまた会いたいと思ってしまったのです。翼は国中の女を城に呼び、お妃選びの舞踏会を開くことにしました。
これを聞いた桜は、自分も舞踏会に行きたいと思いました。継母は桜が仕事を終わらせてドレスを用意できたら連れて行っても良いと言ったので、桜は熱心に仕事を頑張りました。ドレスは桜が仕事をしている間に、ネズミたちが母のドレスを直していてくれていました。そうして仕事を終え、ドレスを着た桜に継母は「そんなみすぼらしい格好で舞踏会に行くなんて」と言いました。二人の姉は桜のドレスをボロボロに引き裂き「身の程知らず」と言いました。三人は馬車に乗り、城へ向かう後姿を桜は茫然と立ち尽くしながら見ていました。
そんな桜を遠くから見ている人がいました。魔法使いです、名前はりんねと言いました。りんねは桜の事をずっと見ていて、なんとか助けてあげたいと思いました。しかし、りんねは魔法使いです。桜を助けてしまうと、桜は王子である翼のところにいってしまう。それを見るのはりんねにとって酷なことでした。しかし、それが桜にとっての幸せなら、とりんねは意を決し声をかけました。
「おい」
振り向いた桜の目には涙が溜まっており、りんねの胸が痛みました。桜には笑っていてほしい。そんな思いからりんねは桜に魔法をかけていきます。桜はみるみるうちに素敵なドレスを身に纏い、目の前には立派なカボチャの馬車までありました。そしてりんねは最後にガラスの靴を手に取りました。この靴を履かせると彼女は舞踏会に行ってしまう。りんねは最後の賭けに出ました。この世の中で一番の魔法はほんの少しの勇気だと知っていたからです。
「ガラスの靴を渡したら、お前は舞踏会に行ってしまうのか。おれは、魔法使いだが、お前を手助けしてやりたくないと思ってしまう。おれには何もないけれど、願わくばおれはお前の王子になりたい」
桜はそんな魔法使いを見て、何故か舞踏会に行かなくてもいいと思ってしまいました。煌びやかな世界にも夢を見るけれど、いつでも自分のためだけに煌びやかな夢を見せてくれる魔法使いに惹かれてしまったのです。ガラスの靴は落として割れてしまいました。彼女がガラスの靴を必要とすることはもうありませんでしたから。
こうしてふたりは幸せな時を過ごしましたとさ。めでたし、めでたし。


シンデレラパロでした。そういえば昨日のりんねはシンデレラ回でしたね!あとわたしが昨日シンデレラを見に行ったのでタイムリーなリクエストになりました。このような感じでよかったでしょうか、、、?シンデレラには女の子の夢とときめきがたくさん詰まっていて憧れますね。それではリクエストありがとうございました!

150531 鞠音



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