叶えておくれ」




(続きが下の方に書いてある)



 よく覚えていないが、何か声を聞いた後――何でか俺の目の前には、広場のポケモン達、そしてもう会うことはないと思っていたリフィネや翡翠やシィーナがいた。
 そして、そこは、俺の家の前で。何でか、お通夜みたいな感じであった。

 俺が呆然としていると――頭に衝撃がはしった。それはどんどん力が弱まっていったが。
 犯人はシィーナで、「ばかっ……ばかやろうぅぅ……!!」と泣いていて、頭をずっと叩かれた。一応、シィーナにとっては叱る行為だったのだと思う。
 そのまま「蒼輝さん!!」と翡翠が駆け寄ってきて、目に涙を浮かべながら「どうして……」と泣きそうな顔で聞いてきた。俺が帰ってきて祝福してるっていうより、戸惑っているようだった。
 リフィネにいたっては「蒼輝のあほんだらーーーーッ!!」と言ってタックルしてきた。それからわんわん泣いていた。
 今ふり返れば……あそこでリフィネを押しのけなかった限り、俺も嬉しかったのだと思う。

 他の奴らは呆然としてが、ある者は「蒼輝が帰ってきたーッ!!」とまだ広場にいるであろうポケモン達に知らせに言っていた。
 他は、俺たちを囲んで涙を浮かべながら祝福してくれた。心配かけさせやがって、と何匹ものポケモンに怒られた。

 不意に、あの言葉が頭にうかんだ。

『……もし、貴方が強く、本当に強く……そのかけがえのない友達と一緒にいたいって、そう望むのなら、また会うことができるよ』


 俺は、この世界にいたいと、望んだんだ。そう、実感した。
 自分の意思で、俺は、こちらの世界を選んだ。


 それから何でか周りが盛り上がっていることに気付いた。
 ガクスがハイドロポンプを撃ちまくり初め、皆が笑いながら逃げている。ディストがハイドロポンプをサイコキネシスで操って、何か凄い形を作っていた。
 ……俺が消えたせいで、できなかったお祝いの続きだろう。


 何でか無意識に笑っていると、バシャッと顔に何かかかった。見ると、そこは紛れも泣く先ほどまで泣いていたはずのシィーナ。リフィネも撒きぞいをくらっていた。
 翡翠は「……すみません」と1匹かわしたようだった。

 そこでプチッと俺の何かがきれ、暴れまくった記憶が――曖昧である。
 ただ、楽しかった。翡翠も珍しくふざけあいに参加し、リフィネとシィーナは主に俺を狙っていた気がする。俺は誰だろうが構いやしなかったが。
 夜だというのに、その場はまるで昼かのように騒がしかった。

 今はその翌日で、俺はもう帰らないと思っていた家で寝て、そしてもう開かないと思っていた日記を書いている。
 ……俺は、本当にこの世界に帰ってきたのだ。

 そんなことを実感しながら、考えた。


 俺の家で寝ている奴らはどうしてくれようか。なんて。





 

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