「逃避行の始まり」




 今日から、逃亡の日が始まる。
 一応、夢については始めに書くことにする。逃亡の生活が終わるまでは。

 今日はサーナイトの夢ではなかった。恐らく、人間だったときの俺の夢だ。
 怒られてるのか、怒られていないのか微妙な夢。いつもの女の子だった。呆れたような口ぶりで、俺を叱っていた。

 無茶したら駄目だよ。もう、本当に心配したんだから。

 懐かしくて、少し、悲しい、そんな夢だった。



 今日の早朝、翡翠とシィーナは勿論、ミフィやアンセ、そしてこの前のワタッコやフェク、色々な奴が見送りにきてくれた。更にいつも手紙やら依頼を届けてくれるペリッパーのキリトは手紙をくれた。
全員、俺を信じてると言ってくれた。だから、どうか真実を見つけてきてくれと。

 リフィネは俺についてくるようで、「安心して。私が守ってあげるから!」という何とも安心できない一言を頂いた。
 翡翠とシィーナは基地に残ると言った。あまり大人数で行ってもすぐに見つかってしまう可能性がある。それに、俺の家を壊されてしまったりしたら困る。だから見張り番をしてくるらしい。
 此処に追ってが来たら、そう思うと不安だ。シィーナは「安心してよー。ボクらがちゃんと守ってあげるからー」と言った。俺は一応お前の身を案じているのだが。とツッコミたくなった。
 翡翠は「僕のことは気になさらなくて大丈夫ですよ。シィーナさんもちゃんとお守りします。それより、蒼輝さんもリフィネさんも、気をつけて行って来てください」と言われた。……やっぱり出来過ぎてるよなぁ、翡翠は。

 それから、皆からオレンの実やら何やらを貰って、見慣れた所を出発した。
 次ここに帰ってくるときに、笑顔で「ただいま」と言えるといいな。そんなことを思いながら。


 逃亡の生活の中ではゆっくり日記を書くことができないので、簡潔に書いておく。
 因みにリフィネにバレたが、人間の文字は読めないので内容は理解できなかったようだ。セーフ。

 今日は森を通った。途中、凄い地割れを見た。
 これも自然災害のせいなのだろう。……それの原因が俺でないことを願う。

 そして今日はバレないよう、小さな2匹でも結構キツい洞窟で寝ることにした。たまたまリフィネが滑って見つけた場所で、おそらく外からは気付かれない。
 ここで今日は休み、明日もすぐに出る。……だから、もう寝ようと思う。





 

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