「柊 蒼輝=v




 いつもより早く起きて部屋を簡単に掃除し、ちょっと早めに家から出た。
 するといつものように翡翠がいて、「おはようございます、蒼輝さん」と笑顔で挨拶してきた。だから俺も「おはよう」と簡単に返しておいた。一体コイツは何時にここにいたんだ……。気になったが追求はしなかった。
 そして今回は寝坊するどころか、いつもより早くリフィネとシィーナが来た。

 昨日ディストの忠告どおり、しっかりと準備はしておいた。後は“雷鳴の山”にいってヴァフテを助けるだけ。
 目線で「行く」という合図をすると、3匹とも頷いてくれた。察しがよくて助かった。

 そのまま“雷鳴の山”へと向かった。
 ゴロゴロと雷が鳴っていてまあ流石は「雷を司る」と言っていたエザンがいる場所のことはある。
 俺としては電気タイプはいるわ、草タイプはいるわで最悪の場所であった。リフィネはいつも通りで足を引っ張るに引っ張り、シィーナはどっちでもなかった。翡翠はいつも通り、全員のフォローをしてくれた。うん、ごめん。

 そのまま進み、エザンがいるであろう山の山頂に辿り着いた。
 リフィネは思い切って「やい! ちゃんと来たぞエザン!」って吠えていたが、エザンが出た瞬間に俺の後ろに隠れやがった。役にたたない。

 エザンの怒りはまだ収まっていないようで、「邪魔をするなら貴様らも倒すまで!」と言って襲い掛かってきた。
 さすが伝説といわれるポケモンで、これまで戦ってきた相手とは比べ物にならないくらい強かった。電気技をくらったら人生の終わりだな、と思ったほどだ。

 最後はリフィネが止めをさした。おぉ、ビビリが治ったか、とちょっと関心してしまった。
 そして少し遅れてからディスト達が来た。倒れているエザンと、そして俺たちを見て驚いているようだった。まぁ、伝説のポケモン倒したからな。

 そのまま雄たけびをあけながら起き上がったエザンに流石の俺も驚き、警戒態勢をとった。そしてガルヴィが俺たちを庇うように出てくれた。まだやんのか。
 しかし、それは杞憂におわった。
 「もう戦う気はない」と言ったエザンだが、明らかに目が怖いんだが。そして俺を睨みつけてから「次やるときまで腕を上げておくことだな」といって飛んでいった。

 いや、もういいです。やりたくないです、マジで。

 その後、ヴァフテは光とともに現れ、どうにか無事なようだった。
 ホッとしていると、いきなりディストが俺に向かって「お主はポケモンではないな?」と聞いてきて、驚いて言葉もでなかった。
 するとリフィネが代わりに俺が人間ということを勝手に話しやがった。まあ話が進んだのでよしとしよう。
 勿論、全員が驚いていた。いや、でも翡翠はいつも通りニコニコしていたが。

 リフィネは何か妙案を思いついたのか、ディストに「何か知らないか」と聞いた。
 そういえばディストは物知りだったな。なんて頭の片隅で思いながら、何か情報が入ることを俺も期待していた。
 しかし、ディストは何も知らないらしい。ただ、“精霊の丘”という場所に行ってセルズというネイティオに話を聞けば何か分かるかもしれない、といった。

 ただ、疑問を覚えた。妙に、ディストは何か考えていた。何か、知っているはずだ。しかし、何も言わなかった。
 聞こうとしたが、リフィネに「さっさと帰ろー!」と背中をおされて、聞けなかった。


 ……もしかしたら、俺が過去の柊 蒼輝≠ニいう人物を知るのが、怖くて聞けなかっただけかもしれない。




(夢についての報告)
 まいっかいのごとく夢を見る。
 今日はまた誰かが俺に話しかけていた。いい加減にしてほしい。何なんだろうか。





 

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