コトリ、と | ナノ


高校まで、俺は普通に女の子と付き合って、別れて、また付き合って、別れて、それを繰り返しました。それから大学に入って。

「あいつと会いました、」

勿論友達としてですけど。大学が一緒なだけで何で会ったとか、全然覚えてないのに、いつの間にか仲良くなって、あいつの家に行くようになりました。よくふたりで飲みました。それで酔っ払った時、あいつ言ったんです。

「俺はゲイだって、」

酔ってる癖して思い詰めた顔してたんで、冗談じゃないのはわかりました。はじめは、嫌でした。仲良い友達がまさかホモだなんて、思いたくなかった。

「少しだけ、距離を置きました、」

いくら嫌だからと思っても友達だし、話してくれたんだから理解しようと思いました。あいつはその間俺に一切連絡をとろうとしなかった。あいつは俺のことを理解してたから。

「だから、俺も応えようと思った、」

ただ普通の友達でいようと、決めました。

「でも、無理、でした」


俺は、尚人を、好きになってました。

きっかけは、やっぱり覚えてないし、そもそも無かったのかもしれません。友達からいつの間にか変わってました。

「卑怯ですよ、」

だって俺はある意味安全な道を選んだ。告白したんです、あいつに。
人を好きになるのに男女が関係無いってことが、当たり前じゃない世の中で、俺は可能性のある事実を選びました。
あいつが俺を好きになる保証はなくても、チャンスは十分あることを知った上で、ですよ。

「わかりますか、」

誰よりも近い状態で、あいつが断れないような状態で、俺は。

「俺は、」


告白、しました。

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