これからも、この先も、



「みっちゃん」


「名前。今日は大丈夫なのか?」


「うん。調子いいんだ」


名前はほら、こんなに元気と腕を曲げ、力瘤を作る。
本人は作れたつもりなのだろうが、端から見れば膨らみは何処にも見当たらなかった。
そんな名前を可笑しくも可愛く感じた。


「そうか。それじゃ、来るか?」


「うん!」


名前が元気な日はHOMRAに連れて行く。
それが習慣となっていた。
吠舞羅の皆も、名前を可愛がってくれる。
アンナなんかは毎日名前と会うのを楽しみにしてるくらいだ。


「ねえ、みっちゃん」


「何だ?」


「私ね、今すごく幸せだよ」


「なんだよ、いきなり」


「だって皆優しくて、出雲さんのココアは美味しくて、アンナちゃんと話すの楽しくて、」


手に何か温かいものが包まれた。
名前が、俺の手を握っていた。


「こんなにも私の事を気にかけてくれる、みっちゃんがいてくれているから」


恥ずかしげもなく笑顔で言う名前を見て、頬が少し熱くなるのを感じた。


「…そうか」


そう言い、繋いでいた名前の手を少し強く握り返した。
これからもこんな日々が続くようにという願掛けの意を込めながら。




これからも、この先も、
(この手を離さない)






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