案外恋には不器用なんですね


※少し注意














つい先程まで普通に廊下を歩いていた、はずなのに。

今、私は何故か伏見先輩によって壁に追いやられ、しかも彼の両手が逃げる場所を塞いでいた。


「あの、伏見先輩…?」


恐る恐る名前を呼ぶ。
しかし先輩は変わらず不機嫌そうにしていた。
そして、その顔は段々近づいてきて、


「っ!?」


唇から感じる、温かいもの。
言われなくても、何をされているか理解できた。
そして触れるだけでは満足できないのか、ぬるりとしたものが口内を犯す。


「ふっ、あ…ん…」


初めての事に、段々酸素がなくなっていき、息苦しくなってきた。

それに気づいたのか、先輩は口を離す。先輩の口と私の口を繋ぐ銀色の糸が、艶かしくのびていた。


「先…輩、どうして…」


「…お前が悪い」


先輩は私の首元に顔をうずめた。吐息がかかり、今までうるさかった心臓がまた格段に音を鳴らす。


「名前を見たら、話したくなって、段々触れたくなって……でも、もし傷つけたらと思うとそれは嫌だから我慢して…もうわけわかんないってーの…」


「…それって、」


自惚れても、いいんですか?


そう聞いたら、先輩は答えるかのようにぎゅ、と私を抱き締めた。

「…先輩って、」




案外恋には不器用なんですね。
(我慢しないで、触れてよかったのに)








微裏目指しましたが挫折。

てか意味わからんな、これ。






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