Promise Flower | ナノ

「ちゃんとデータは採れましたかヴェロニカ」

 にこにこと笑う魁の眼鏡の奥の細い瞳は本当に楽しげだ。
 冷酷と恐れられているこの人も、今ばかりは新しい玩具をもらってはしゃいでいる子どものようだ。
 ずっと、ずっと欲しがってた玩具をようやく手に入れ、思う存分遊べたのだ。それはさぞかしご機嫌だろう。


「やはり、同族が近くにいると高ぶるんですね。……少々使い勝手が難しいのが今後の課題ですか」

「おい!! 魁!!」

 恨みと怒りしか込められていない怒声。反射的に身構えたヴェロニカとは対照的に魁は落ち着いていた。
 ネズミ一匹が現れても気にならないぐらい上機嫌のようだ。

「フラール、なぜ集会に来なかったんですか?」

「全部知っとるくせに何言っとる!! お前、レンちゃに何渡した!?」

「何も。ただの薬です」
 白々しく笑みを浮かべて魁は答えた。
 魁の態度が気にくわないフラールは今にも魁の胸ぐらをつかみかかりそうな勢いで魁に詰め寄る。

「ただの薬? あれがけ!?」

「……

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