ペルソナ5×メガテン@
《明けない夜の噂》

その噂を耳にした者は地下に閉ざされた東京の夢を見るという。そしてスカイツリーにくるよう異形に強要され、次の満月がくるまでにこられなければ永遠に出られなくなる。検索してはいけないキーワードとして取り上げられているのを見たことがあるとは、双葉の談である。それを聞いた怪盗一味は脱力した。なんだ手の込んだヤラセか。

お願いチャンネルに投稿された《明けない夜の噂》に出てくる地下の東京に閉じ込められた助けてのコメント。そして更新されていくホラーゲームによくある誰もいない東京。空はいつも真っ暗であり、安物のスマホの画質の悪さから断定はできないが岩盤のようなもので蓋をされているように見えた。天使にスカイツリーにこい、悪魔にお台場にこい、と言われたという投稿者はスカイツリーを目指して移動中、シャドウによく似た異形に襲われて更新が途絶えている。タチの悪い悪戯だと憤慨した三島は削除したが、面白がった掲示板の住人たちがまとめてホラーwikiに投稿した。今、ラインやツイッターあたりではちょっとした祭りになっている。

雨宮が妙に気になったのは、投稿者が最後に撮影した画像に映った異形がどう見てもシャドウにしか見えなかった点だ。一応メメントスに潜入もしてみたが新しいエリアが出現した形跡はないとモルガナが教えてくれた。つまりメメントスに迷い込んだ一般人がシャドウに襲われたわけではないという。

それにしては似ているのだ。投稿者が最初に遭遇した《明けない夜》の東京への導入が、始めて雨宮たちがカモシダパレスに迷い込んだあの日のように。

そして今、雨宮のはるか上には岩盤の空が広がっていた。


「《明けない夜》に迷い込んでしまったようね、可哀想なニンゲン。ワタクシが保護して差し上げましょう。どうかこのままスカイツリーを目指してください」

「けっ、まーた迷い込んできやがったのかよ、ニンゲン!てめーらのせいでアイツラが来ちまうじゃねーか!さっさと帰れ!お台場にくりゃ出口だ、早く来いよな。うひひひひ」


幻影を残して消えた天使と悪魔に愕然としていると、後ろから声をかけられた。背中に冷たい感触がある。雨宮は思わず両手を挙げた。雨宮が愛用するモデルガンとよく似ているが重さがちがう。全くちがう。


「誰よ、アンタ。そんな綺麗な服きちゃって、どこの悪魔の擬態かしら?」


ちら、と視線を走らせるとそこにはボロボロのセーラー服にあり合わせの服を組み合わせ、それなりの防寒対策をした少女が立っていた。言うなればそう、スラム街の地下水道でたくましく生きる人々のような、粗末ながら生きる気力を失うことなく生きている、そんな少女だった。




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bkm
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