「なあ、 和波」
「はい、何ですか?アイくん」
「HALはなんでHALっていうんだよ?俺みたいにAIだからアイなんて単純なネーミングじゃなさそうだな、うらやましー」
「いいじゃないですか、シンプルで」
「俺が女みたいな話し方してたらOKな雰囲気だったけどさ、俺どーみても男みたいな喋り方だろ!男でアイはないわー。たしかにAIに性別はないけど?」
「……あ、あはは」
「めーそらしやがったよこいつ!?くっそー、で?なんでHALなんてカッケー名前思いついたのさ?」
「はい、2001年宇宙の旅っていう映画があるんですけど、そこにでてくるAIの名前なんです」
「ちょーっと待て、検索検索」
アイがネット通販のページを引っ張ってくる。
「ええー、なんでよりによってこのAIなんだよ」
「え、よくないですか?」
「どこがだよ」
アイはぼやく。
「よりによって矛盾した命令をどちらも遂行しようとして、バグって、人をたくさん殺しちゃうようなAIのどこがいいんだよ。自分で考えなきゃだめだろ、馬鹿だよ、こいつ」
「そう言わないでくださいよ、HALが自分はこれがいいって提案してきたんですから」
「まじかよ!?ほんとにあいつ俺達のバックアップなの?馬鹿なの?」
「Heuristically programmed ALgorithmic computer、つまり発見的なプログラムをされたアルゴリズム的コンピュータですよ。かっこよくないですか?」
「それ、意味分かってていってるのか?」
「え?えーっと、えへへ」
「あ、それともHALが当時のコンピュータの先を行くっていう意味で、最大手の会社の名前を一文字ずらした言葉からきてるのか?それならSOLテクノロジー社的に考えて、TPMってつけるべきじゃねーの?」
「ティーピーエムですか。あ、たしかにそれっぽいシステムがあるみたいですね、でも言いにくいなあ。やっぱりHALはHALですよ、言いやすいし」
「気に入らねー、HALってなに男も女もいけるみたいな、優秀な名前ついちゃってんだよ、むっかつく−」
「え、まさかそれが本音なんですか!?」
「だってアイってそのまんまじゃねーか。犬や猫じゃねーんだぞ」
「いい名前じゃないですか、目だけになっちゃったのなら、ダブルミーニングだし」
「そー言う問題じゃねーよ!」